Outline of Annual Research Achievements |
本年度報告する主な研究成果は以下のものである. ① 論文[C., G. Poggesi, T. Yachimura, Nonlinear Anal. 2022] では, Serrin 型優決定問題において, 一相と二相の場合を比較して, 定量的な安定性の評価を与えた. 一相の場合は, 本優決定問題の解が球に限る[Serrin 1971]. 一方で, 二相の場合は非自明な解もまた存在することが知られている[C.-Yachimura 2020]. 本論文では, 二相Serrin 型優決定問題の問題設定が「一相に近い」という仮定の下で, 二相Serrin 型優決定問題の解は「球に近い」という定量的な評価を与えた. ② 論文[C.,T. Yachimura, Current Trends in Analysis 2022]では, [C.-Yachimura 2020] で扱えなかった「退化な設定」(伝導率がcritical value のときに相当する)において, 二相Serrin型優決定問題の解の枝が分岐することを示した. ③ 論文[C., Indiana Univ. Math. J. 2022] では, 「境界上の法線微分の値が平均曲率と比例する」という条件を満たす二相楕円型方程式における優決定問題を考えた. 優決定条件に現れる比例定数によって, 「A) 解は存在しない」, 「B) 解は自明解 (同心球) に限る」, 「C) 自明解に加えて、非自明解もまた存在する」の三パターンの特徴づけを行った. また, C) の場合, 分岐解析を行った.
|