2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of speech characteristics in autism spectrum disorder
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20K22676
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大黒 達也 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (60886464)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 発話音声 / 会話 / 確率的振幅変調 / 韻律 / 移動エントロピー / 階層性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はまず、自閉スペクトラム症者(ASD)と定型発達者(TD)の言語コミュニケーションにおける音韻的階層の特徴を調査した。 TDとASDの回答者は、TDの質問者から12のトピックについて最近の経験を聞かれた。音声は、ASD指向の発話(TD質問者からASD回答者へ)87サンプル、TD指向の発話(TD質問者からTD回答者へ)72サンプル、ASD発話(ASD回答者からTD質問者へ)74サンプル、TD発話(TD回答者からTD質問者へ)55サンプルを用いた。 ベイズ推定に基づく確率的振幅復調を用いて音声波形の振幅変調構造を分析した結果、ASD音声とASD指向音声、TD音声とTD指向音声の間が類似していることがわかった。さらに、韻律と韻律・音節リズム・音韻リズムの相互作用は、ASD指示音声とASD音声では、TD指示音声とTD音声に比べてそれぞれ有意に弱いことがわかった。特に、ASD音声は、TD音声と比較して、高音域から低音域への動的処理(例えば、韻律から音節への処理)が弱いことが示された。この結果は、TD者が自発的に音韻特性をASD発話に適応させている可能性を示している。 この研究結果をもとに英語論文にし、学術誌に投稿した。現在は査読中である。査読中の論文は、プレプリントとしても投稿している(PsyArxiv、10.31234/osf.io/4agcw)。現在は、その音声を自動生成するシステム開発に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の「発話特性」の理解だけだと、誰に向かって話した時なのか、また対話相手によって特性がどう違うのかまではわからない.よって提案者は、発話相手が定型発達者の時と自閉スペクトラム症者の時でどのように変わるのかを調べることにしたため。また、調べた結果、仮説通り対話相手によって特性が変わることが明らかになった。学術的にも新しい結果であったため、まずは英語論文にしようと思ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
自閉スペクトラム症者の音声を自動生成するシステム開発において、文脈や状況によって、発話特性も変わる可能性が示唆されたため、どんな状況下においても同じ音声を提示することが問題であるとわかった。また、記録した音声は、基本的には質問に対する回答がベースとなっているため、自然な会話とは言い難い。よって今後は、より自然な会話においての発話特性も理解するべく研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
開発の前に,会話時の「対話対象」によってどのように発話特性が違うのかを明らかにしなければならず、開発より基礎研究に重きが置かれたため.次年度は開発を中心に使用する.多くは,機器などの物品・消耗品と人件費である.
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