2020 Fiscal Year Research-status Report
リソソームプロテアーゼ欠損に基づくオートファジー新規役割の解析
Project/Area Number |
20K22744
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山口 隼司 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30875282)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | リソソーム / カテプシンD / オートファジー / Atg7 / 神経性セロイドリポフスチン症 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、神経性セロイドリポフスチン症(NCL)とオートファジーとの関係について解析することを目的に研究を行っている。具体的には、NCLの原因遺伝子の一つであるカテプシンD(CTSD)とオートファジー機能不全モデルであるAtg7の神経系特異的両欠損マウスを作成して、神経細胞内で蓄積するリソソームの変化と、その中でのオートファジーの役割について検討を進めている。 目的とする神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスを作成する間、今年度はCTSD単独欠損マウスと、同マウスから採取した線維芽細胞を用いて、オートファジーとの関連について解析を進めた。CTSDを欠損した神経細胞や線維芽細胞内では、選択的オートファジーの受容体タンパク質であるp62、NBR1が蓄積するが、栄養飢餓条件下で強制的にオートファジーを誘導するとこれらは有意に減少することを明らかにした。また、CTSD欠損神経細胞内で認められるp62やNBR1の蓄積は、細胞質にある一部の構造体に限局される可能性を見出した。この構造体についての詳細を明らかにするため、以降では、光-電子相関顕微鏡法(CLEM)や三次元電子顕微鏡法を用いて、電子顕微鏡レベルで解析を進めていく予定である。さらに、作成した神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスを用いて、オートファジー機能不全条件下でのNCL病態変化についての検討を加える。 また、電子顕微鏡を用いた解析で共同研究を行って学術論文を発表した。(Isei Tanida , Yoko Furuta , Junji Yamaguchi , Soichiro Kakuta , Juan Alejandro Oliva Trejo , Yasuo Uchiyama Two-color in-resin CLEM of Epon-embedded cells using osmium resistant green and red fluorescent proteins. Sci Rep. 2020 Dec 14;10(1):21871)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、神経系特異的CTSD単独欠損マウスやCTSD欠損線維芽細胞を用いて、オートファジーとの関連についての解析を主に進めてきた。また、オートファジー関連のみでなく、神経系特異的CTSD単独欠損マウスの脳内各領域で起こるグリア細胞の変化についても検討を加えた。神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスの作成にあたり、目的とするgenotypeの親マウスが想定通り増えなかったことから、進捗としては予定より少し遅れ気味と考えているが、徐々に匹数も増え始め、両欠損マウスも解析に進めることが出来るようになってきた。 また、年度後半では、所属研究室で開発したIn-resin CLEM法を2色蛍光タンパク(緑色/赤色)での相関に発展させた手法について学術論文に報告した。In-resin CLEM法とは、樹脂包埋後に作成した超薄切片を蛍光顕微鏡と電子顕微鏡で同時観察する手法である。樹脂包埋前後の歪みや収縮で生じる誤差が解消されるため、従来のCLEM法より高精度に蛍光と微細形態を相関できる。この手法は、本研究課題の中でも有用であると考え、併せて検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
目的とする両欠損マウスが作成できたことから、今後の解析は予定通りに進行できると考えている。神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスを用いて、オートファジー機能不全条件下におけるCTSD欠損神経細胞内で起こる変化について解析していく。また、三次元電子顕微鏡法やIn-resin CLEM法などを用いてp62やNBR1が蓄積している構造体について詳細な検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスの作成にあたり、目的とするgenotypeの親マウスが想定通り増えなかったことから、進捗に遅れが生じたため。
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