2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22785
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小椋 俊太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10770430)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 眼科学 / 糖尿病網膜症 / 活性型プロテインC / 周皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病網膜症は、網膜毛細血管壁の周皮細胞が変性・脱落することにより発症する と考えられている。しかし高血糖モデル動物では網膜血管壁の周皮細胞の消失を再現できないことが、網膜症の病態進展機構への理解や新規治療法の開発の大きな障壁となっていた。 最近、申請者らは高血糖を介さず新生仔マウスにおいて血小板由来増殖因子受容体に対する 阻害抗体を投与し、網膜血管壁の周皮細胞を消失させることで、網膜内の炎症を直接惹起し、 虚血、血管透過性亢進や浮腫・出血など糖尿病網膜症に類似する病態を再現できることを明らかにした。 活性型プロテインCは血管内皮安定化や抗炎症、細胞保護といった作用が報告されている。活性型プロテインCの眼科応用では虚血性網膜疾患患者への硝子体投与が有効であったと報告されたが、その作用機序は不明である。本研究では、網膜血管虚血と異常血管新生を病態とする周皮細胞消失網膜症モデルマウスおける活性型プロテインCの意義・役割を検討する。現在、網膜症進展の抑制と虚血再建効果を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響や所属機関での研究代表者のポジションの変更により、臨床業務に費やす大幅に増加し、研究に従事できる時間が予想以上に減ってしまっている。また研究室の立ち上げや機材の購入にも時間がかかってしまった。しかし、漸く稼働できるような状況になっており、今年度は研究に取り組む事ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 周皮細胞消失網膜症マウスにおける活性型プロテインCの薬剤効果 抗PDGFRb抗体を投与した新生仔マウスに活性型プロテインCを投与した後の網膜症の経時変化や改善程度を評価する: 血管内皮の異常が是正され、虚血・低灌流が改善されるのか、周皮細胞が再遊走するのか、アストロサイトの形態が改善するのか、炎症細胞の数が減少し非活性化するのか、また これらはAPCの投与後どの時期に生じるのか。さらに、異常網膜における細胞の増殖・アポ トーシス・細胞間接着・細胞極性・基底膜などの検証しにより、不可逆的網膜血管異常の何を活性型プロテインCが是正できるのかを形態学的に検証する。 2) 培養アストロサイト、培養内皮細胞への活性型プロテインCの薬効の検討 VEGFやTNFタンパクと活性型プロテインCを共培養しアポトーシス抑制作用を検討する。また、スクラッチアッセイによる細胞遊走・増殖能を活性型プロテインC投与で増加できないかその形態学的な変化を検討する。
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Causes of Carryover |
研究開始(予算交付開始日)から今日現在までまだ半年である点やCOVID-19などの影響により研究に従事できる時間が限られていたため。 今年度は培養細胞を購入しその維持継代に予算を充てること、また今後マウスの購入飼育量を増加させることを計画している。 また染色や投与実験用の購入やその他必要となる機材の購入に充てる予定である。
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