2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K22802
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
樋口 貴史 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00728719)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / マルチキナーゼ阻害剤 / 化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、2系統の骨肉腫患者由来組織同所移植マウスモデルに対し、マルチキナーゼ阻害薬であるパゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、クリゾチニブと、骨肉腫標準治療薬のシスプラチンを投与し観察した結果、スニチニブ群とソラフェニブ群の軽度増殖抑制効果とレゴラフェニブ群での著明な増殖抑制効果を認めた。さらにレゴラフェニブ群では、腫瘍の完全壊死を認めることができた。 摘出した腫瘍のさらなる病理学的解析を行い、Ki-67等の増殖マーカーの変化を解析予定である。 腫瘍を切除したマウスに対して、腫瘍の再発を観察するために、現在もマウスの観察を継続したが、前回試験で観察を行った複数のマウスが別の要因で死亡してしまい、観察不十分となったため、n=3のマウスを治療からやり直し、腫瘍を切除し、転移や再発の評価を行っている。 In vivoの結果から、骨肉腫において、ソラフェニブ、スニチニブ、レゴラフェニブの3種のマルチキナーゼ阻害薬に抗腫瘍効果を有する可能性について、in vitroの解析を行っている。骨肉腫の細胞株143Bを継代し、WST-8 assayをまず行っている。いずれのマルチキナーゼ阻害薬もジメチルスルホキシド溶媒での可溶性が悪く、湯煎するなどの工夫を行い、完全ではないが希釈液を作成できた。しかし、不溶の薬剤の毒性が強いためか、低濃度でも143Bが死んでしまうことから、現在、マルチキナーゼ阻害薬を可溶化するために、他の手段を検討している
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
In vivoの腫瘍切除後の再発や転移の観察において、マウスの病気による死亡などがあったため、治療の段階からやり直している。 マルチキナーゼ阻害薬をin vitroで解析する際に、マルチキナーゼ阻害薬の可溶化に難渋しており、in vitroの解析が行えていない。 COVID-19感染症のため、研究施設への出入りなどの制限や協力研究者との相談が十分に行えていなかったことが原因で、当初予定していたin vitro解析が完了していないため、進捗状況は遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
切除腫瘍のパラフィン切片は作成済みであり、各種免疫染色(Ki-67, MDM2, p53, VEGFR, PDGFRなど)やTUNEL染色を行う準備は完了している。 ソラフェニブ、スニチニブ、レゴラフェニブの骨肉腫に対する抗腫瘍効果をin vitroで解析するために、それらの薬剤を可溶化する方法を検索している。薬剤の溶液が完成し次第、ヒト骨肉腫細胞株143Bとヒト骨芽細胞株のhFOB 1.19を用いて、WST-8 assayを行い、マルチキナーゼ阻害薬のin vitroでの有効濃度を解析する。また、決定した有効濃度をもとに、フローサイトメトリーやウエスタンブロッティングを行うことで、薬剤のアポトーシスと細胞周期に対する効果を解析する。フローサイトメトリーは、本教室において、e Muse Cell Analyzerを購入しており、いつでも使用可能である。ウエスタンブロッティ ングでは、MET, ERK, AKTのリン酸化やVEGFR, PDGRFの発現を解析し、マルチキナーゼ阻害薬により誘導されるタンパクについて解析する予定である。In vivoの解析は概ね完了しており、学会発表、本研究の研究成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
今回予定していたin vitroの解析が技術的な問題とCOVID-19感染症による実験時間の減少により、進行できなかった部分があったため、計上していた実験用の薬剤や材料を購入できなかった。 研究計画のうちで実施てきていないin vivoの解析とin vitroの解析については次年度に持ち越すことになった。ただし、次年度に持ち越したin vivoの解析についてはパラフィン切片が既に用意できているため、免染などの解析は順調に進むと考えている。In vitroの解析については、薬剤の可溶化ができていないため、過去の文献や協力研究者とディスカッションしたうえで、解決策を見出す予定である。研究計画にあるin vitroの解析はいずれも解析の経験を有しており、薬剤が可溶化でき、溶液が完成し次第、順調に進むと考えている。
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Research Products
(1 results)