2021 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における三次リンパ組織形成ならびに抗腫瘍免疫誘導機構の解明
Project/Area Number |
20K22845
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 善郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10882251)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 大腸癌 / TLS / 3型自然リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、大腸癌手術切除標本を用いて実験を行い、大腸癌組織および正常粘膜には、NKp44+ILC3というILC分画が存在し、この分画は末梢血や脾臓においては見られない腸管特異的な分画であることを発見した。さらに、このNKp44+ILC3が、胎生期においてリンパ組織を形成するLTi細胞と類似した遺伝子発現を示すことがわかった。また、正常大腸粘膜より採取したNKp44+ILC3と、大腸癌組織より採取した間質細胞(CD45-CD31-CD90+)を共培養したところ、間質細胞のリンパ組織形成に関与する接着分子(ICAM-1, VCAM-1)やケモカイン(CXCL13, CCL19, CCL21)の発現が亢進することがわかった。 令和3年度は、昨年度に引き続き大腸癌における腫瘍関連三次リンパ組織(TLS)の評価を行った。症例数を増やして検討し、腫瘍組織の単位面積あたりのTLSの量は、Tis/T1腫瘍で最も多く、T3/T4腫瘍においては大きく減少することを確認した。また、二重染色を用いた免疫組織化学染色を行い、TLS内にCD3陰性Rorγt陽性であるILC3が存在することを確認した。さらに、大腸癌腫瘍組織におけるTLSとNKp44+ILC3の相関を検討するために、免疫染色で評価した腫瘍単位面積あたりのTLSの量と、同一症例におけるフローサイトメトリーで評価したNKp44+ILC3の割合を評価した。TLS密度は、腫瘍ILCにおけるNKp44+ILC3の割合(R = 0.62; P < 0.005)、およびNKp44+ILC3の腫瘍単位重量あたりの細胞数(R = 0.64; P < 0.005)と有意な相関を示し、NKp44+ILC3がTLS誘導を介してヒト大腸癌の抗腫瘍免疫に関与している可能性が示唆された。
|