2020 Fiscal Year Research-status Report
シュワン細胞由来エクソソームの局所送達による重度末梢神経障害治療法の確立
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20K22994
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣澤 直也 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (10882748)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | シュワン細胞 / 末梢神経障害性疼痛 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、まずは、初代ラットシュワン細胞培養を行った。生後1日のラットの両側坐骨神経を摘出し、継代を続けていく中で坐骨神経内に存在する繊維芽細胞の除去を行った。シュワン細胞の抽出の確認はp75NTRやP0(Myelin Protein Zero)などを用いて行い約95%以上の純度を得ることが可能であった。シュワン細胞培養を用い、次いで、シュワン細胞培養液中にシュワン細胞が分泌するエクソソームの抽出を行った。外因性エクソソームの影響を除去するため、シュワン細胞培養で必須である血清FBSなどを用いることは困難であり、エクソソーム抽出における最適な培地、無血清培地でシュワン細胞を培養可能な時間同定を行った。結果、12時間の抽出時間が、細胞壊死を起こすことなく、エクソソームが抽出されることが判明した。エクソソームの抽出は、多量の培地を用いることから、既成のキットは用いることが困難であり、超遠心機を用いた連続する遠心分離方法によりエクソソームの抽出を行った。 超遠心機を用いたラットシュワン細胞由来エクソソームの抽出効果を確認する必要があり、我々はまず、エクソソームに発現されるとされる各種タンパク質をImmuno blottingにて行った。Tsg101, Flotilin-1, CD9などのバンド描出に成功、またシュワン細胞由来であることを裏付けるp75NTRの存在も示すことが可能であった。また、Nanosightと言われる抽出したサンプル内の粒子径・粒子数を確認できる装置を用い、今後さらなるエクソソームの抽出の確証を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの蔓延影響により、細胞培養に要する器具の発注に時間を要した。また、新たに始める研究であり研究環境の整備などで時間を要した。最大のポイントとなるエクソソームの抽出はおおむね順調であり次年度(今年度)、研究計画に沿って更なる研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、生後1日のラットから初代ラットシュワン細胞培養を行い、試行錯誤した後、ラットシュワン細胞由来エクソソームの抽出を行うことが可能であった。今後は、計画にあるように、抽出したエクソソームが有するTNFαのメイン受容体であるTNFR1にフォーカスをあて、末梢神経障害時にまず活性化されるTNFαに対するシュワン細胞由来エクソソームがは果たす役割の解明を行う予定である。その解明後、実際のラットを用い、これまで申請者が確立してきた損傷神経に対するコラーゲンシートのラッピング技術を導入し局所へシュワン細胞投与を行い、その効果・効能を実証していく予定である。
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Causes of Carryover |
シュワン細胞培養に伴う実験器具の購入や納期に時間を要し、また、コロナの影響で参加予定であった国際学会は全てキャンセルとなって関係で、予定金額より少なくなってしまいました。実験として環境が整ってきたため、今年度は予定金額を使用する計画です。
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