2021 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の歯科疾患・口腔機能と心理的・社会的フレイルの相互関係に関する長期縦断研究
Project/Area Number |
20K23077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福武 元良 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10883259)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
フレイルには多面性があり、筋力低下や低栄養に代表される身体的フレイルや認知機能障害やうつ状態に代表される心理的フレイル、独居や経済的困窮に代表される社会的フレイルがある。しかし、これまで口腔因子との関連を検討しているのは身体的フレイルがほとんどで、心理的・社会的フレイルとの関連を調べた研究はない。そこで、本研究では2300名を超える70歳、80歳、90歳の自立した地域高齢者を対象として、口腔因子と、心理的・社会的フレイルとの因果関係を検証することを目的としている。 2021年度は、感染対策に十分配慮したうえで、昨年度予定していた80歳群ならびに元々予定していた90歳群に対する会場調査を行った。2022年3月末までに、266名(80歳群165名、90歳群101名)の調査を終えている。 これまでに収集した口腔検査データから、口腔因子と心理的・社会的フレイルとの関連について検討を行った。70代80代の地域在住高齢者1065名を対象とし分析を行った。認知的フレイルの判定は,認知機能低下を伴い,かつ身体的フレイルに該当している者とし、社会的フレイルの判定は、「独居」「家族以外の者との交流回数が月1回未満」「外出頻度が1週間に2回以下」のうち2つ以上該当している者とした. 口腔機能として,咬合力,咀嚼能率,舌圧,嚥下機能の測定を行い、各口腔機能を目的変数とし、認知的・社会的フレイルを説明変数,年齢,性別,教育年数,経済状況,四肢骨格筋量,残存歯数を調整変数とした重回帰分析により検討を行った.分析の結果,認知的フレイルの者は,咬合力,咀嚼能率,舌圧,嚥下機能が低く,それぞれの機能で有意な関連を認めた.また,社会的フレイルの者は,舌圧が低く,有意な関連を認めた.
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