2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K23087
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鮒田 亜実 九州大学, 大学病院, 医員 (10888077)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 歯 / 発生 / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯は、毛、唾液腺および味蕾などとともに、上皮-間葉相互作用により形成される器官として知られており、これら器官は、抗がん剤治療により歯の形成不全、脱毛、口渇感および味覚異常といった副作用が顕著に生じる器官である。抗がん剤の副作用の検証を行うには、実験動物を用いて確認する方法が用いられてきた。しかしながら、発生期における影響を見るためには、母体を通して胎仔に抗がん剤を作用させる必要があり、器官発生における直接的な影響を解析することが困難であった。そこで、本研究では、器官培養法を応用することで、抗がん剤の発生器官発生器官に与える直接的な影響を解析できるシステムを構築することを目的として研究を開始した。 今回は、発生期歯胚における抗がん剤副作用の影響を確認するため、小児白血病の治療に使われるシクロフォスファミド (CPA)を抗がん剤モデルとして選択した。CPAは副作用として、投与時期に応じて、その時期に形成途中である歯胚の形成が阻害されることが報告されており、歯の欠損、エナメル質形成不全および形態不全などが認められることが知られている。まず、マウス胎生13日齢歯胚を実体顕微鏡下で摘出し、器官培養法にて培養することで器官形成が行われることを確認した。次に、CPA投与時の血中濃度を参考に、様々な濃度のCPAを添加すると、濃度依存的に歯胚形成が阻害されることを発見した。その際、細胞増殖の抑制およびアポトーシスの活性化を認めた。次に、歯冠の形態形成が終了したE18の歯胚を用いて同様の実験を行ったところ、歯胚は正常に発育した。これらの結果は、時期特異的なCPAの副作用を再現していると考えられ、器官培養を用いた本モデルにより副作用の検討が可能であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯の器官培養法を用いて抗がん剤副作用の検出モデルを作成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度作成したモデルを用いて、抗がん剤副作用を回避する方法の検討を行う。
|
Causes of Carryover |
covid-19影響下のため、学会開催中止となり旅費の執行が不可能であった。当該助成金は、翌年度に計画している遺伝子発現解析等の消耗品として使用する予定である。
|