2021 Fiscal Year Annual Research Report
食事における心理的効果による栄養状態改善を目指した基盤研究
Project/Area Number |
20K23265
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高鶴 裕介 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (30446265)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 食の嗜好性 / 脳機能 / fNIRS / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会において嚥下機能低下による摂食障害、誤嚥性肺炎の増加は大きな医療問題の一つである。研究代表者はこれまで、嗜好性を考慮した練習食により嚥下機能が改善した一例を経験した。本研究課題は、この経験をもとに、嗜好性を考慮した嗅覚刺激による脳機能及び身体機能の賦活効果を検証するものである。前期高齢者を含む健常ボランティアに対し、嗅覚嗜好試験、fMRI検査、fNIRS検査、嚥下造影検査などを行い嗅覚刺激による脳機能、ホルモン動態、嚥下機能の変化などを検証する。この研究成果を基に、様々な基礎疾患を有する軽度嚥下障害被検者に対する嗜好性嗅覚刺激の効果を検証する予定である。本研究の成果により、食を通じた高齢者の健康増進を発展させ、食べる喜び・生きる喜びを長く享受できる将来のビジョンを提示できる可能性があると考えている。 今年度は健常者を対象としたfMRIなどを用いた実験の結果を解析した。その結果、嗅覚の感受性には男女差があり、その能力は年齢に応じて低下することを確認し、その性別・年齢依存において特に、内側前頭前皮質-角回の機能的結合性が重要であることを発見した。本成果はJ Neuroimaging誌に採択された(2022 Mar 30. doi: 10.1111/jon.12994. Online ahead of print)。 また、健常者を対象としたfNIRSを用いた実験において、生活習慣(居住条件;家族と同居か独居か)や食嗜好性(普段の食事の好みが濃いか薄いか)で喫食時の前頭葉における脳機能の差違があるようであることを見出した。今後、実験症例数を増やすとともに、様々な属性の被験者で比較検証を継続して実施する予定である。
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