2020 Fiscal Year Research-status Report
イップスの心理的維持要因に対する新たな治療方法の提案
Project/Area Number |
20K23267
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 和哉 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (60880383)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | イップス / アクセプタンス&コミットメント・セラピー / 認知行動療法 / 野球 / 体験の回避 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、以下の発表および研究を実施した。
(1)認知行動療法のひとつであるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性を議論するシンポジウムにおいて、話題提供者として研究内容を発表した(日本心理学会第84回大会)。(2)体験の回避(嫌な気持ちをなくそうとする試み)がパフォーマンス場面の不安に与える影響について国際学会でポスター発表を実施した(ACBS World Conference ONLINE)。(3)イップス、スポーツパフォーマンスに関する論文、書籍を収集し、ACTの適用可能性、研究計画について共同研究者と再考した。
(1)ACTに関する理論の整理、ACTの有効性を示す調査研究のレビューを行い、申請課題の調査研究を行うにあたり、その理論的背景と方法論(使用する質問紙、解析方法)について精緻化した。(2)嫌な気持ちをなくそうとする試みが潜在的に強い者は、パフォーマンス場面後の反すうが多いことを明らかにした。(3)イップスへの支援、スポーツパフォーマンス向上に対する支援方法について、文献収集を行い、レビューを行った。スポーツパフォーマンスに対して、認知行動療法の技法、マインドフルネスやアクセプタンスを利用したアプローチなどが存在する。その一方で、「イップス」の治療に特化した心理的支援方法の不足、アウトカム指標の不十分さ(アウトカム指標として、不安傾向を測定する尺度やマインドフルネスなどの質問紙が用いられており、実際の競技パフォーマンスをアウトカム指標とした研究が少ない)が課題点として挙げられた。これらの文献収集により、研究2(イップス症状に対するACT介入の効果検証)におけるアウトカム指標の選定(行動指標)および介入計画を精緻化した。また、調査および介入研究を実施する各高校、大学の候補を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に研究に関する倫理審査は終了し、調査研究を開始できる段階にあるため。
2021年5月現在、上記の点も踏まえて、研究1(ACTの変数とイップス症状の関連を検討する質問紙調査)で用いる質問紙尺度の選定と倫理審査も終了し、調査を開始する段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1の質問紙調査を2021年5月中に開始し、8月中に終了予定である。 現状の課題点として、質問紙調査を行う場所(高校生、大学生を対象)の確保が挙げられる。その点について、各大学、高校について電話、調査用紙の郵送、SNSを介した連絡を実施していく予定である。
2021年10月には、調査研究の結果をまとめ、国際誌に論文を投稿する予定である。 2021年11月に研究2(イップス症状に対するACT介入の効果検証)を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、学外への調査や学会参加に関する旅費の支出金額が予定よりも大幅に少なく、次年度使用額が多くなった。
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