2021 Fiscal Year Research-status Report
International Research on the Revival of Classical Texts in 18th- and 19th-Century Japan
Project/Area Number |
20KK0006
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
盛田 帝子 (飯倉帝子) 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40531702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永崎 研宣 一般財団法人人文情報学研究所, 人文情報学研究部門, 主席研究員 (30343429)
松本 大 関西大学, 文学部, 准教授 (30757018)
飯倉 洋一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40176037)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 古典復興 / 古典遺産 / 光格天皇 / 物合 / 絵巻 / 国際共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的なコロナ禍により海外渡航の見通しが立たないため、予定していたホノルル美術館およびUCBでの原本調査・ワークショップ・共同授業の実施計画をオンラインによる国際共同研究会とCOIL教育に変更して実施した。 国際共同研究会は、ホノルル美術館に所蔵される18世紀後半の古典復興の好例である『十番虫合絵巻』(2巻)の影印・翻字・注釈・現代語訳・解説・英訳の出版を目指して、日本側の研究代表者・分担者・研究協力者、Robert Huey (国際研究協力者UH教授:日本文学)、Hilson Reidpath (UH大学院生:沖縄文学)、Andre Haag(UH准教授:日本文学)、Tanya Barnett(UH大学院生:現代日本文学)、Francesca Pizarro (UH大学院生:現代日本文学) 、Kiyoe Minami(ホノルル美術館スタッフ) 、Pier Carlo Tommasi(UH准教授:日本中世文学)を中心として10回開催し、7番まで読み進めた。研究代表者は、日本国内の『十番虫合』の諸本7点を調査し、相互の関係を整理して、ホノルル美術館本が原本であることを結論づけた論考を『かがみ』52号(大東急記念文庫、2022年3月刊)に発表した。 COIL教育は、UCBのジョナサン・ズウィッカー准教授の授業に、研究代表者、分担者の飯倉洋一・松本大、研究協力者の山本嘉孝・有澤知世が講師として参加し教材を提供した。学生の反応は良く、2022年度以降も継続して行う。 18-19世紀の宮廷における古典復興を「古典(テクスト)遺産」活用のモデルのひとつとして捉え、現代における古典復興の可能性を探究するための国際シンポジウムを2023年2月に行うための準備を行い、その基調講演者・発表者・会場・実施日時などを決定した。また、『十番虫合絵巻』の研究成果をWEB公開するための準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界的なコロナ禍により海外渡航の見通しが立たないため、UCBのC.V.スター東アジア図書館所蔵資料およびホノルル美術館レインコレクション所蔵資料の原典調査・対面によるワークショップ(授業)ができず、そのために予定していた予算を次年度以降に繰り越した。それにも関わらず「おおむね順調に進展」と記したのは、オンラインを活用した国際共同研究会(ホノルル美術館所蔵『十番虫合絵巻』の解読)を年に10回行い、成果物の刊行を目標とする国際学術交流を想定以上に進めることができたからである。 また、UCBのジョナサン・ズウィッカー准教授の授業に、日本の研究者がリアルタイムで授業・教材を提供するなどのCOIL教育は、アメリカで、どのように前近代の日本文学を教えるかという課題を日米間で共有し課題を解決していくための有意義な議論と実践の場となった。来年度も引き続きブラッシュアップした授業を行い、検証する予定である。 なお、予定していた時期よりも1年度前倒しの2023年2月に、当初の想定よりも大規模な国際シンポジウム「古典の再生」を開催する企画を立て、基調講演者・発表者・会場・実施日時などを決定し、日本を含め5か国から講演者・発表者の許諾を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的なコロナ禍の状況を見極めながら、UCBのC.V.スター東アジア図書館所蔵資料やホノルル美術館レインコレクション所蔵資料の国際共同原典調査、また対面によるワークショップ(ホノルル美術館所蔵原本を前にハワイ大学の教員・学生との公開ワークショップ)、授業(UCBのC.V.スター東アジア図書館の原典資料を用いて、研究代表者・分担者・連携研究員がUCBの学生に対面授業を行う)の機会をうかがう。原本を前に、これまでの共同研究の内容や疑問点を討議・検証することで研究の質をブラッシュアップすることを目指す。 UH部門では来年度もオンラインによる国際共同研究会を継続し、ホノルル美術館所蔵『十番虫合絵巻』の翻字・注釈・現代語訳・英訳について議論を深め、解説・研究を含めて一書にまとめ、2023年度中の出版を目指す。ホノルル美術館所蔵『十番虫合絵巻』は、18世紀後半の江戸で古典復興がどのように行われ、そこにどのような意義があるのかを解き明かすのに最適なテクストであり、国際共同で出版する意義は大きい。そのため英訳や英語注釈もふくまれる。出版はWEBとも連動する予定であり、分担者・研究協力者間で有意義な提示の仕方を議論・推進する。 UCB部門については、今年度に引き続きCOIL教育を実施し、可能であれば、C.V.スター東アジア図書館資料をコンテンツとして用いる授業およびWEB展示を視野に入れて、オンラインを利用して話し合いを進める。 2023年2月に国際シンポジウム「古典の再生」を2日間にわたって開催する。国際的に活躍する国内外の発表者が参集し、古典復興について理論的に考察するとともに、さまざまな事例についての報告を基に、実証的に検証を行う。国際シンポジウムの成果は、2023年度中に一書にまとめ、出版する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していたホノルル美術館での原本調査およびワークショップ実施、およびUCBののC.V.スター東アジア図書館での原本調査ができなかった。そのための旅費を次年度に繰り越すこととなった。
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Research Products
(33 results)
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[Book] 詩文と経世2021
Author(s)
山本 嘉孝
Total Pages
440
Publisher
名古屋大学出版会
ISBN
978-4-8158-1043-6