2022 Fiscal Year Research-status Report
Enhancing Social-Ecological Resilience through Sustainable Tourism Governance in post-corona era: Traditional value-based approach for Community Vision, Capacity and Leadership
Project/Area Number |
20KK0038
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
加藤 久美 和歌山大学, 観光学部, 教授 (30511365)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淑瑠 ラフマン 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 特任助教 (30467097)
Miller Graham 和歌山大学, 国際観光学研究センター, 客員教授 (40832697)
パストール・イヴァールス フアン 国際連合大学サステイナビリティ高等研究所, サステイナビリティ高等研究, リサーチ・アソシエート (50867637)
Sharpley Richard 和歌山大学, 国際観光学研究センター, 客員教授 (60863082)
Doering Adam 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (70784560)
松尾 茜 公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, リサーチャー (80885484)
|
Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
Keywords | サステナビリティ / レジリエンス / ガバナンス / ビジョン / 政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィンランド、ニュージーランド、ポルトガル、タイ政府による観光におけるサステナビリティ推進について情報を得、以下5点を共通項目とした。1)持続可能性理念に基づく実践の展開、2)持続可能性の目標設定、3)進捗の測定方法(評価基準;定性的・定量的指標)、4) デスティネーション支援の方法、5)人材育成。社会・環境・経済の均衡、すなわち「人・地球・利益」としての持続可能性は、「持続可能な開発目標」の目標16と17である「平和とパートナーシップ」に重点を置き、「利益」を「繁栄」と再解釈し、より包括的な5Pとして「誰も取り残さない」意味をさらに高めてきている。デスティネーション内での団結と協力の促進は、「デスティネーション開発」の成功のカギとなると言え、これは、経済的だけでなく社会的、環境的にデスティネーションに利益をもたらすことを目指す再生観光の概念と一致している。そのためには、場所に根ざした団結、コラボレーション、パートナーシップが不可欠であり、その基本は、地域社会が自ら明確に定義した地域特有の特徴にある。しかし、地域の特性やビジョンに基づいたパートナーシップは、地域にとっても最も難しく、多くの観光地では、組織や企業、個人による多様な努力がなされているにもかかわらず、停滞やさらなるステップへの妨げの原因になっている。持続可能な観光のガイドラインや指標は、このようなビジョン形成やベンチマークをサポートし、デスティネーションが持続可能な開発のために段階的アプローチを取ることには有用である。デスティネーションのパートナーシップが最も重要な役割を果たし、そのためには統一されたビジョンと戦略的マネジメントのフレームワークが不可欠であることが強調される。各国の若手研究者間の意見交換の場を設け、連携を強めて行くことを本事業の最終段階として進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初からの連携相手、アイスランド、ニュージーランド、パラオ、に加え、タイSTG(Sustainable Tourism Goals)、スイス(Suwsstinable)、ノルウェー(Sustainable Destination)、ポルトガル、チロル(Ecolabel), ハワイ(Pono)、など幅広い国、関連事業者からの多様な知見、事例が得られたことは本研究の進捗に寄与するものとなった。同様のアプローチを取る地域は日本でも増えてきている(宮古島、奄美大島、沖永良部島など)。これらのアプローチは、持続可能な観光地域づくりの指針として有効であることが明らかであった。観光庁が進める、持続可能な観光ガイドラインの観光政策フレームワークとしての導入が進む中、本事業を基盤とする各セミナー・勉強会を通じて本アプローチの重要性、有効性を提言することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
観光とSDGs(パートナーシップ)、及び、観光と再生についての論文を2本完成させる。タイ観光政府STG(Sustainable Tourism Goals)、スイス観光政府(Suwsstinable)、フィンランド政府(Sustainable Travel Finland)、ニュージーランド政府(Sustainable New Zealand)、ノルウェー政府(Sustainable Destination)との連携により、サステナビリティの要素であるウェルビーイングを強調したビジョンづくり、目標設定、評価方法について議論を進め、次課題への取り組み計画を策定、科学研究費にも申請する。国内では観光庁・環境省共同事業(持続可能なコンテンツ強化事業)を中心事例とし、採択事業からの協力も得る。追加調査として京都観光行動宣言に関する調査を行うと同時に、各国間の連携を深めるため研究会を開催し、議論・連携を深めていく。
|
Causes of Carryover |
使用計画:研究会・フォーラムの開催:本事業が注目するビジョンに基づくガバナンスを国内外で発信、事業総括としての研究会・フォーラムを開催し、より深い議論を持ち、地域の発展を支援すると同時に、次の段階の課題設定と共同研究の計画を固め、申請準備を行うことを計画している。1)京都、ニュージーランド、フィンランドとの連携により、サステナビリティの要素であるウェルビーイングを強調したビジョンづくり、目標設定、評価方法について議論を進める。これはウェルビーイング指標の方法論として、共同研究計画を進める。2)サステナビリティ事業評価方法論・指標:22~23年度に国内各地域で開催されるサステナブルな観光地域づくり事業の事例を中心に、事業評価の方法論、評価項目をまとめる。3) 2032年夏季オリンピック開催地である豪クイーンズランド州ブリスベンを中心とする、州内10のサステナブルなモデル地域について、ウェルビーイング指標、事業評価方法についての検討を始める。8月には現地研究会にて登壇者することになっている。
|
Research Products
(5 results)