2021 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアにおける仮想津波観測実験―海洋レーダ津波防災活用技術の飛躍的発展
Project/Area Number |
20KK0093
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
日向 博文 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70272680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 良太郎 愛媛大学, 防災情報研究センター, 特定研究員 (00856883)
藤井 智史 琉球大学, 工学部, 教授 (30359004)
片岡 智哉 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (70553767)
奥村 与志弘 関西大学, 社会安全学部, 教授 (80514124)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 津波 / 海洋レーダ / ジャワ島 / 避難モデル / 波浪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1)電波環境計測や津波シミュレーションから津波検知性能を評価するモデルの開発,2)レーダ津波検知性能向上のためのノイズフィルターと,3)レーダによる津波情報を活用した住民避難モデルの開発を目指している. 2021年度の研究概要は以下の通りである.1)データ同化を用いた津波波高予測精度に対するレーダ流速観測点数・位置や予測対象地点位置の依存性について検討を進めた.その結果,等水深線と直行するレーダビーム上で観測された視線方向流速をデータ同化に使用することで,予測精度を向上できることが判明した.2時間の予測を実施した場合,63地点のデータを利用すると,予測精度誤差は5.9%,計算に要する時間は15分であった.測点数を25地点にまで減らしても誤差8.5%程度に収まり,計算時間は5分まで短縮することができた. 2)国内の同様の周波数を使用するレー ダ局においてレーダ使用周波数の近傍周波数に関するノイズ調査実験を行った.レーダ使用周波数帯周辺の短波放送やディジタル通信の存在とその混信状況 ならびに時間帯によるノイズレベルの変動状況などの把握の方法を確認した.また,SN比に大きな影響を与える波浪場については,インドネシアジャワ島南岸沖における波浪場を計測したところ,南西方向から高周期の波が観測されており,南極海から伝搬してきたうねり成分が卓越していることが確認された. 3)インドネシア住民の行動特性を分析し,海洋レーダによる津波情報の有用性を高めるための知見を得た.具体的には,文献調査によりインドネシアにおける避難トリガーの実態を明らかにした.2018年パル津波で記録された映像を用いた分析と避難シミュレーションによって,インドネシアにおける避難開始促進要因を明らかにし,各要因の相対的影響度を定量的に評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地での研究実施が困難な状況であったが,既存データを活用し,津波波高予測,波浪推算,避難モデルやノイズフィルターに関して研究を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの状況が改善されない場合,我が国で取得された海洋レーダ既存データ及びジャワ島南岸での観測データを活用し,仮想津波観測実験によって津波検知や波高予測精度のデータを蓄積していく.ノイズフィルターについても同様にこれらのデータを活用して開発すると共に,津波検知や波高予測精度向上に対する影響を把握する.避難モデルについては引き続きインドネシアにおける既存津波を対象としたモデル開発を進めると共に,ジャワ島南岸域でもインターネット等を介した遠隔ヒアリング調査を実施し,モデル開発のための行動特性に関する基礎データを蓄積する. コロナの状況が改善された場合,現地でのノイズ強度とその変動に関する観測,現地における住民アンケートを実施していく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,インドネシアに赴き,観測調査を行えなかったため.
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