2022 Fiscal Year Research-status Report
Joint International Research on Aurelian Walls at imperial Rome beyond the scope of the present capability of architectural fieldwork
Project/Area Number |
20KK0100
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 賀貴 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20294655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池口 守 久留米大学, 文学部, 教授 (20469399)
奥山 広規 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (50852365)
佐々木 健 京都大学, 法学研究科, 教授 (70437185)
山田 順 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (90352202)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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Keywords | アウレリアヌス城壁 / メトロニア門 / サン・ジョヴァンニ門 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年から2022年までのコロナ禍によって調査計画の大幅な遅れが発生し、2022年にはローマ遺跡監督局の責任者が交代となり、調査計画の再構築が求められた。9月にはローマ遺跡監督局を訪問し、新たな調査計画についてローマ遺跡監督局の担当者であるアレッサンドラ・チェリート博士とともにプレゼンし、検討の結果2023年はじめには調査許可の延長とそれにともなう新しい研究協力協定について新局長のProf. Claudio Parisi Presicceとの合意に至った。3月には、ローマ遺跡監督局からの要望の強いサン・ジョヴァンニ門周辺での予備調査を実施し、2023年度からの本格的な調査開始のための準備を開始した。あわせて、アウレリアヌス城壁の管理責任者であるマリアンナ・フランコ博士とも現地にて打合せを行い、城壁の測量データの精度、また三次元点群データの密度についても意見交換を行った。当初の設定よりも、高い精度、密度が求められることが判明し、対応策として30m程度であったスキャナーの設置間隔を10m程度に短くすることで解決可能との結果を得たが、実際には2023年度の本格的な運用の結果をまって間隔を決定することとした。結果として、当初の計画通り、現在遺跡公園として整備されているアウレリアヌス城壁の南部、現在はサン・ジョヴァンニ門と呼ばれるヴィニョーラによるルネサンス時代の門を含め古代のメトロニア門から調査を開始し、アジナリア門までの区間を、外・内側から詳細に実測することとなった。また、ローマ遺跡監督局の仲介で近接する調査研究としてサン・ジョヴァンニ門の北側城壁内部に位置するサン・ジョバンニ・ラテラノ大聖堂付近で”Rome Transformed”と題されたプロジェクトを進めるニューカッスル大学(英国)との連携の可能性について検討することとした。成果報告については、2023年度の国際学会でのプロシーディング1編に留まる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍中における国際共同研究の遂行には多くの課題が残った。オンラインによる打合せや限定的な現地調査によって計画された調査の一部は実施できたものの、ローマ遺跡監督局側の要求する精度に達しなかった。当初はレーザー実測による三次元計測を主とした調査を予定していたが、写真測量などの実測に時間を要しない技術の応用も検討したが、やはり写真測量の精度に限界があり(厳密にいえば誤差が予測できない)、補助的な測量、とくに色情報の計測には有効であるものの、レーザー実測を補完するまでには至らないと判断した。様々な可能性を検討した上で、有効な研究方法を提示できなかった点でやや遅れていると判断せざるを得ない。ただし、2022年度の研究成果が2023年のEAA(ヨーロッパ考古学協会)の国際学会で博士後期課程学生によるプロシーディングとして採用されており、ここではオプティカル・スキャナーと写真測量の精度比較を行っている。こうした成果は見込めるものの、順調とは判断できない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査の遅れを挽回するため、モバイル(移動式)のレーザースキャナーの導入を予定している。教育用に導入された機材ではあるが、2023年度の調査に投入する計画を立案している。精度はテレストリアル(地上設置)型よりは劣るものの、20m程度の範囲であれば、1cm程度に収まるとの研究もあり、実際の調査で運用しながら、高精度化に挑戦したい。現在、運用実績を積み上げており、データの比較を予定しており、2023年の調査までには、躯体的な運用方法を策定する。くわえて、1km程度のレンジをもつ長距離型のスキャナーの可能性も検討しており、導入の可能性を探っていく。これまでは150mをレンジとするスキャナーのみの運用を想定していた(データが均質なため、高精度、運用効率も高い)、コロナ禍による調査の遅れを挽回するため、ますは現有の300mレンジのスキャナーの援用も検討する。距離が長くなると点群密度の差が大きくなるため、データの精度だけでなく質も劣化する危険性もあるが、運用によって劣化を避ける方法を検討していく。1kmレンジのスキャナーの導入に成功すれば、計画を上回る成果も期待できる。このように方式の異なる計測方法を連携・連動させることによりローマ遺跡監督局が要求する精度を実現するとともに、研究助成年度内の計画完了を実現していく。
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Causes of Carryover |
物品費が予定額よりも小額となったため繰り越しが発生した。令和5年度ではその他(消耗品)として計上する。また、旅費についても見込みより小額となったため、同様に繰り越しが発生したが、同様に令和5年度では旅費に繰り入れる予定である。
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Research Products
(1 results)