2023 Fiscal Year Research-status Report
Joint International Research on Aurelian Walls at imperial Rome beyond the scope of the present capability of architectural fieldwork
Project/Area Number |
20KK0100
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 賀貴 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20294655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池口 守 久留米大学, 文学部, 教授 (20469399)
奥山 広規 徳山工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (50852365)
佐々木 健 京都大学, 法学研究科, 教授 (70437185)
山田 順 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (90352202)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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Keywords | ローマ / アウレリアヌス城壁 / アジナリア門 / サンタ・クローチェ・イン・ジェルサレンメ聖堂 / レーザースキャニング |
Outline of Annual Research Achievements |
2024年2月に2022年度までのアジナリア門付近の城壁および監視塔の実測結果をもとに、ローマ遺跡監督局の研究者と3Dデータの検証を行った。城壁および管理棟の内部の実測および城壁の地上付近部分のデータは概ね期待通りであり、今後の研究および遺跡管理のためにも十分満足できる成果であった。一方で、10m以上に達する城壁や監視塔の上部については、地上型のスキャナーと壁体との距離がとれないため、俯瞰となることが多く、データの密度が不足することが判明した。2023年度の調査では、アジナリア門以東のサン・ジョヴァンニ門(車が通過する門)からサンタ・マルゲリータ・オラトリオ(9世紀)間の城壁および内部の調査を行った。城壁内部については、世界初の実測データとなったが、管理状態に問題があり、床部分のデータの実測が不可能であることが判明した。 加えて、2023年度に実施したアウレリアヌス城壁が古代の円形闘技場と一体となっているサンタ・クローチェ・イン・ジェルサレンメ聖堂付近の実測については、城壁の高さが6m程度と低いため、円形闘技場の外壁と城壁が一体となる部分の一部を実測し、遺跡監督局に3次元データを提供し、検証の結果、概ね満足できる結果であることを確認した。 2023年度の調査により、3D測量によって、城壁の断面が部分的ではあるが生成可能であることが確認された。アウレリアヌス城壁については平面図(しかも18世紀のものを現在も使用している)および、部分的な立面図(写真を合成したもの)しか存在せず、立面図の作成については、俯瞰となる高所測量の問題を解決する必要があるが、断面図の生成については、世界初の成果となり、今後の研究の進展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度までのコロナ禍も影響し調査実施が大幅に遅れ、実測計画全体を見直す必要が生じた。当初は精度より全域の調査を優先する方針であったが、ローマ遺跡監督官の交替および担当者の移動により、限定した場所の精密な実測が最優先となった。あわせて前任者による調査許可が再考されることになり、2023年の前半は調査許可の再取得に時間を要した。結果として、城壁を構成するレンガの1ピース、1ピースが確認でき、その大きさも計測できるデータを構築することとなり、2023年より新たな調査許可を取得することができた。 また、精度を優先した場合、実績の概要でも記したように、高所の実測が俯瞰となるため、遺跡監督局が要求する精度を実現することが難しいことが判明した。 なお、次ページ以降の論文の成果発表については、ローマ遺跡監督局の許可が必要であり、現在、照会中のため、現時点で論文として発表できない。
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Strategy for Future Research Activity |
高さ6m程度までの城壁、および付属施設については、地上型のレーザースキャナで要求される精度のデータを取得可能であることが確認されたが、それを超える高所については、以下の方策を検討する。 1)ドローン型のスキャナを導入する。2023年にEU域内でのドローンの運用法制が整備され、事前の登録によって飛行が可能となった。ただし、登録には免許の取得とイタリア政府が発行する納税者番号が必要であり、後者については大阪のイタリア領事館にて発行できることを確認した。免許については、日本でも整備された免除制度がEUにも準拠しているため、免許に翻訳証明書などを添付してイタリアにおける免許を同等と見なせないか、検討中である。また、ドローンによる実測が要求される精度を実現できるかについては現在、検証中である。 2)長距離型のスキャナを導入する。城壁周辺には多くの民間の建物があり、屋上からの実測によって高所をスキャンできる可能性が高い。その場合、500m程度の距離も予測されるため、より長距離型のスキャナが必要である。本件については、ローマの遺跡監督局に民間の建物への立ち入り許可を取得するよう要望を伝え検討する旨の回答を得た。 3)付近の民間建物に立ち入れる場合、写真測量も検討する。この場合はレーザースキャンによるデータとの合成が必要となる。 以上、現地での調査を通じて、もっとも適切な実測方法を開発し(いずれも世界初の試みとなる)、今後の研究にもつなげていく。
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Causes of Carryover |
研究実施状況に記したように、調査許可の更新に手間取ったため、調査期間が3月となり、研究分担者の一人がイタリアに渡航できなかった。令和6年度への繰り越しが発生した。令和6年度に調査に参加する予定である。
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Research Products
(1 results)