2022 Fiscal Year Research-status Report
犬固形腫瘍に有効なCAR-T細胞のシグナル分子の解明
Project/Area Number |
20KK0153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 貴之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40447363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 大貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60843216) [Withdrawn]
酒居 幸生 大阪公立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (90844192)
吉本 翔 麻布大学, 獣医学部, 学振研究員 (70909168)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 犬 / 固形腫瘍 / CAR-T細胞療法 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が同定してきた標的抗原HER2およびPDPNに対するCAR-T細胞の最適なシグナル分子を検証し、同定することである。本研究の実施にあたっては、犬血液腫瘍に対するCAR-T細胞の研究を行なっており、大型の設備・施設を保有している米国Mason准教授との共同研究を行う。 本研究計画は国内および米国における新型コロナ感染症の蔓延とそれに伴う制限のために計画変更を余儀なくされたが、国内の研究者と米国に派遣した研究者の円滑なコミュニケーションのもと研究計画の軌道修正を行い研究推進に成功している。 今年度は、米国の共同研究者のもとへ分担研究者1名を1年間派遣し、研究を推進した。また国内の大学においても並行して実験を進め、順調にデータが得られている。米国ペンシルバニア大学共同研究先においては、共刺激分子として、①CD3zのみ、②CD3z&CD28、③CD3z&4-1-BB、④CD3z&ICOSという4パターンのCAR-T細胞を作製し、解析を進めている。昨年度、明らかになったサイトカイン産生能や増殖能の違いに加え、疲弊分子マーカーの発現や連続抗原刺激による抗腫瘍機能の差異など、臨床例における治療効果への影響が大きいと想定されるT細胞機能が各シグナル分子を持つCAR-T細胞ごとに異なることを見出した。今後より詳細な解析を進めていく。 国内においては、CAR-T細胞に搭載する抗HER2抗体の各種犬の腫瘍および猫の腫瘍に対する結合性を検証し、複数の腫瘍種にわたって抗HER2抗体が結合することを確認できた。これにより、抗HER2-CAR-T細胞が犬猫の様々な腫瘍種を標的にできること、またその標的腫瘍種を同定することに成功した。今後、それら標的腫瘍種を対象にCAR-T細胞療法の有効性を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症に伴う制限はあったものの、米国の共同研究先に分担研究者を派遣し研究推進ができ、着実に実験データが得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、作製した各種共刺激分子を組み込んだCAR-T細胞の特性比較のための実験を米国および国内で行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による制限のため、初年度および次年度に研究計画の変更が必要となり、遅れがでたため。当初、昨年度予定していた実験等を次年度に繰り越す形式で、予算を使用していく。進捗状況によっては本研究期間延長も視野に入れ、対応していく。
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