2021 Fiscal Year Research-status Report
Cochlear synaptopathyに対する新規聴覚再生治療法の確立
Project/Area Number |
20KK0204
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
欠畑 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90261619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水足 邦雄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (40338140)
小泉 優 山形大学, 医学部, 医員 (80723585)
|
Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
|
Keywords | 内耳 / 聴神経 / 有毛細胞 / シナプス / 再生 / 神経 / 再生医療 / ROCK阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響性や薬剤性、加齢性聴覚障害の初期病変として内有毛細胞と蝸牛神経間のシナプス病理、Cochlear Synaptopathyの病態が注目されている。本病態に起因する聴覚障害(Hidden Hearing Loss)は、有毛細胞自体の障害は伴わず、内有毛細胞・蝸牛神経間のシナプスの減少を認める病態で、一見正常な蝸牛機能を持つがその後の聴覚予後に影響を与える。本研究では、Cochlear Synaptopathyモデルマウスを作製し、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有し、かつ人体に安全であるROCK阻害薬を用い、内耳障害における内有毛細胞・蝸牛神経間のシナプス再生を検証し、新規内耳再生治療の可能性を検討する。 前年度は機能評価のためのABRが故障したため、一部機材の入替を行ったが、covid-19パンデミックの影響により納入に時間がかかってしまった。このため予定よりも遅れが生じてしまったが、現在は98dB、2時間の条件での音響障害によりCochlear Synaptopathyモデルを作製し評価を行っている。本年度は実際にROCK阻害薬を投与し、その効果について検討を行う。 共同研究者である防衛医科大学校の水足らとの共同研究として、laser-induced shock wave(LISW)を用いたCochlear synaptopathyモデルに対するROCK阻害薬の効果の検討を行い、結果をまとめて国際論文発表をおこなった。 本年3月より共同研究者の小泉が国際共同研究先であるHarvard Medical SchoolのEaton-Peabody研究所に着任した。本年度はAaron Remenschneider氏との共同研究として、爆傷により作製したCochlear Synaptopathyモデルに対するROCK阻害薬の効果を検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19パンデミックの影響によりABRやDPOAEの稼働が遅れたことから、当科でのモデル動物の作製に関しては予定よりもやや遅れているが、現在は音響障害モデル動物を作製し評価を行っている。一方で、本年度は防衛医科大学校の水足らとの共同研究により、LISWにより作製したCochlear synaptopathyモデルに対するROCK阻害薬の効果を検討した。作製したCochlear synaptopathyモデルに、正円窓経由でROCK阻害薬を投与したところ、ROCK阻害薬10 mM投与群で、ABR第I波振幅の再増大及び、シナプス数の増加が確認され、一定の成果を挙げることができた。 また、Covid-19のパンデミックのため、共同研究者の小泉が国際共同研究先であるHarvard Medical SchoolのEaton-Peabody研究所に着任するのが2022年の3月になってしまったが、着任後ただちに共同研究に着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ROCK阻害薬の蝸牛神経障害に対する再生効果をin vivoの実験系で検討することが目的である。蝸牛神経障害モデルの評価には正常群と障害群の比較評価、治療効果判定には障害群(生食投与コントロール)と治療群(ROCK阻害薬局所投与、ROCK阻害薬全身投与) の比較検討を行う。1. 障害前の機能評価、2. 音響障害、3. 24時間後に機能評価を行い、一過性閾値上昇を示した個体を選別し形態学的評価、4. 各グループに振り分けて薬剤投与、5. 治療終了時の機能評価・形態学的評価の流れで行う。蝸牛神経障害モデルの作製、ROCK阻害薬の投与方法、蝸牛神経障害およびROCK阻害薬の作用についての機能的・形態学的解析が本研究のキーポイントとなる。 ABR、DPOAEによる機能評価が可能となったため、現在は98dB、2時間の条件での音響障害によりCochlear Synaptopathyモデル動物を作製し評価を行っている。本年度は実際にROCK阻害薬を投与し、その効果について検討を行う。 また、Harvard Medical School, Eaton-Peabody研究所のAaron Remenschneider氏との新たな障害モデルを用いた検討を開始した。爆傷によるcochlear synaptopathy動物モデルに対するROCK阻害薬の効果を検討する予定であり、まずは165 kPa, 10回の条件での暴露により障害モデル作製し評価を行う。
|
Causes of Carryover |
本研究計画は国内共同研究および国際共同研究を行うことが主要な目的となっている。実際に研究者代表者や分担者が現地に出向して研究を行うことを想定しており、移動のために旅費を多めに計上していたが、前年度もcovid-19パンデミックの影響のより移動が制限されてしまった。このため当初の予定よりも支出が少なくなってしまったが、本年3月より共同研究者の小泉が国際共同研究先であるHarvard Medical SchoolのEaton-Peabody研究所に着任したため、今後も可能な限り当初の予定に沿って研究を進めるために予算が必要な状態である。
|
Research Products
(8 results)