2023 Fiscal Year Research-status Report
小中学生に対するレジリエンス・プログラムの開発と文化適応性の検討
Project/Area Number |
20KK0265
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高橋 高人 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10550808)
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Project Period (FY) |
2021 – 2024
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Keywords | 認知行動療法 / レジリエンス / 予防 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究および基課題は,小中学校におけるメンタルヘルス研究として,抑うつ,ストレス反応の改善・軽減といった「治療的効果」にとどまらず,「予防教育的な効果」をテーマとしている。学校教育に求められるのは,現時点の治療的効果だけでなく,将来にわたって心と体の健康を維持促進するための予防教育的な効果検討である。さらに海外で開発された心理的介入が,わが国の教育体制,文化において効果的かどうかわが国への文化適応性を検証することも目的とする。 本研究は,基課題を発展・加速させるためにUniversity of Oxford, Dr. Creswellの研究グループと共同して,あらたなプログラムを開発する。そして,新たに開発した介入プログラムについて,わが国の教育体制および文化への適応性の国際間比較も行う。基課題で取り組む介入プログラムを発展させたJapanレジリエンス・プログラムを開発し,効果検証を行う。 研究1として,これまでに日本で収集したデータを解析し,メンタルヘルスの保護要因であるレジリエンスに概念整理を進めていく。レジリエンスなど子どもと若者のメンタルヘルスに関する保護要因については実証的な研究が不足しており,その実態も不明確な点が多い。具体的には,現在収集している国内データについて統計解析を行い,レジリエンスの構成要因を詳細に整理していく。研究2として,Japanレジリエンス・プログラムを開発し,効果検証を行う。 また,本研究費によって実施した調査研究を国際学術誌(査読付き)に公表した。この研究は,小学生を対象に2年間6時点のデータ収集を行なった縦断研究である。抑うつ感に与える認知行動的要因についてRandom Intercept Cross-Lagged Panel Modeling (RI-CLPM)による解析を行い個人内における縦断的な変化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,2022年度に1年間,受け入れ機関である英国オックスフォード大学Department of Psychologyに在籍し,Dr Creswellの研究グループと共同研究を進めた。その後の研究機関においても継続して共同研究を進めている。現在,英国の各エリアおよび日本で収集しているデータについて解析,論文発表の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに国際共同研究を進める。継続してプロジェクトチームに参加し,日英両国でデータ収集を行う。また収集したデータについて,査読付き学術雑誌に公表することを目標とする。2023年度は,わが国において,介入研究を計画しておりデータ収集を進める。日本におけるデータ収集のために学校と関連機関との連携を円滑にする。
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