2009 Fiscal Year Annual Research Report
一分子生理学を超えて:生体分子機械を力で優しく働かせる
Project/Area Number |
21000011
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 一彦 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30124366)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 信一 理工学術院, 教授 (10130866)
|
Keywords | 1分子計測・操作 / 1分子生理・生化学 / 生体エネルギー変換 / タンパク質核酸の構造動態機能 / 回転分子モーター / リニアー分子モーター / F1-ATPase / トポイソメラーゼ |
Research Abstract |
(1)F1-ATPaseの回転機構 回転分子モーターF1の回転子を磁気ピンセットによりATP合成方向に回転させ、蛍光性AD(T)Pを用いて、回転角と3つの活性部位における化学反応の関係を調べた。合成は基本的に加水分解の逆の道筋をたどることが分かった。ヌクレオチド親和性の角度依存性も分かり、Boyerの結合変化説を実証しつつある。 活性部位に結合したヌクレオチドの数は常に2であり、ATP結合の直後だけ一瞬3になることが確かめられた。従来必要とされてきた3個目は、活性と無関係な弱い結合によること、燐酸は加水分解直後に放出されること、なども分かった。 回転軸を半身に削いでしまった変異体でも、高速回転するだけでなく、野生体の半分のトルクを発生できる。 (2)ATP合成酵素 脂質膜に再構成することにより、ATP駆動での膜内回転を示せたが、プロトン駆動によるATP合成方向の回転は検出できなかった。その後ATP合成活性のはるかに高い再構成法を見いだしたので、合成回転の可視化に再挑戦する。 (3)リニアー分子モーター ATPに駆動されるミオシンの爪先上下運動を詳細に解析し、投稿した。また、ミオシンVとアクチン間の結合力には方向性があること、斜めに引っ張られてもミオシンVは歩き続けられること、などを示した (4)その他 II型トポイソメラーゼがDNAの絡まりをほどくときの見かけのprocessivityは1μm程度であり、DNAのブラウン運動によると分かりつつある。Reverse gyraseに関しても、一分子だけでDNAを何回も捻り続けることを示唆するデータが取れ始めている。紡錘体(染色体分裂装置)はラダビーボールの形をしているが、外力で紡錘体を変形させて大きさが変わってしまっても形状が保たれることが分かり、その機構を調べている。
|
Research Products
(63 results)