2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソームを基軸としたタンパク質分解系の包括的研究
Project/Area Number |
21000012
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 啓二 (財)東京都医学総合研究所, 東京都臨床医学総合研究所, 理事 (10108871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 茂穂 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20344070)
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Keywords | 蛋白質 / バイオテクノロジー / プロテオーム / 脳神経疾患 / 免疫学 |
Research Abstract |
26Sプロテアソームは不要になった細胞内のタンパク質を選択的に分解するための大規模な細胞内装置である。本酵素は触媒機能を司る20S CP(Core Particle:別名20Sプロテアソーム)の両端に調節ユニットである19S RP(Regulatory Particle)が会合した分子量250万の巨大で複雑な多成分複合体である。CPはα-Ringとβ-Ring(各々7種のα/βサブユニットから構成)がαββαの順で会合した円筒型粒子であり、RPは6個のATPase(Rpt1-6)と約15個のnon-ATPase(Rpn1-15)サブユニットがLid(蓋部)とBase(基底部)を構成している。本年、以下の3項目で顕著な成果を挙げた。(1)われわれはこれまでにシャペロン(PAC1-4)依存性20Sプロテアソームの分子集合機構を明らかしてきたが、19S RP粒子、とくにATPase-Ringを含むBase複合体の分子集合に必須である新たに4つのシャペロン分子を発見、それらが構造的・機能的に酵母から哺乳類まで進化的に高く保存されていることを明らかにした。(2)一昨年に世界で最初にマウスで発見した(胸腺におけるCD8+Tリンパ球の正の選択を介したレパトア形成に関与する可能性が示唆された)胸腺プロテアソームがヒトの胸腺皮質の上皮細胞にも存在することを証明した。(3)他方、細胞内のユビキチンプールを監視・維持する新しい機構(ユビキチンが2~4分子が直鎖状に繋がったフリーのユビキチン鎖が、脱ユビキチン化酵素とその阻害タンパク質によって環境ストレス応答依存的に可逆的に制御されているメカニズム)を発見、国内外のユビキチン代謝研究に大きな影響を与えた。
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