2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本の被援助・開発経験の相互作用的研究:1950年代を中心に
Project/Area Number |
21200045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (50313010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 恭民 法政大学, 人間環境学部, 名誉教授 (60241923)
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Keywords | 対日援助 / 資源政策 / 日本の経験 / 対外援助 |
Research Abstract |
資源政策研究と対外援助創成研究グループの二年目は、米国に存在するGHQ天然資源局関連資料の収集、国内では戦後の資源行政に関連する資料の収集を続け、1950年代前後の資源行政をめぐる日米双方の問題認識および働きかけ、そして相互作用の一端を明らかにした。研究成果の一部を書籍として上梓し、1950年代の被援助・開発経験を、20世紀以降の日本の天然資源開発をめぐる政治家・政策立案者・研究者の構想に位置付けて立体的な把握を行った。 対日援助研究では、21年度に引き続き根釧パイロットファームの取り組みを調査した他、同じく世界借款の対象案件となった、上北パイロットファーム(青森県)及び篠津泥炭地開拓事業(北海道)について、現地調査及び文献調査を行った。根釧と上北のパイロットファームは、両方とも重要な畜産地帯となっているが、根釧と異なり上北の開拓モデルは近隣に全く広がらなかった。これは、借款の実施機関に当たる農用地機械開発公団の設立経緯に主に由来することを明らかにした。また世界銀行は篠津泥炭地も酪農地域として開拓する計画を有していたが、日本側の強い要望により客土による水田開発が行われた。同地域も北海道における有数の米生産地帯となっている。篠津泥炭地開拓事業の技術波及効果については次の研究課題である。 また、日本の被援助・開発の経験を今後のODAの在り方への提言に生かす本研究の目的に沿って、被援助国の視点からの新興国援助と、社会統治の観点からの発展途上国における天然資源開発のそれぞれについて論文を提出した。
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Research Products
(5 results)