2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の被援助・開発経験の相互作用的研究-1950年代を中心に
Project/Area Number |
21200045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (50313010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 恭民 法政大学, 人間環境学部, 名誉教授 (60241923)
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Keywords | 開発援助 / 日本の経験 / 新興ドナー |
Research Abstract |
最終年度である平成23年度は、当初からの目標であった英文出版の企画書をまとめ、2名の専門家による査読を受けて英国の出版社Routledge、から出版する契約をとりつけることができた。当該書は研究分担者だけでなく、広く関連する研究者に執筆を依頼し、全10章で構成される。3月中旬の段階で草稿はすべて出版社に渡してあり、現在、先方で原稿整理・校閲の作業に進んでいると聞いている。 原稿執筆の過程では研究会を開催し、互いの論文の整合性を高めるための工夫を行った。一連の作業を通じて、戦後に日本が受けた援助の在り方が、その後の日本の援助の様式に影響を与えたこと、また新興ドナーと呼ばれる中国や韓国でもほぼ同様のパタンが見られることが確認された。アジア新興ドナーについては、信頼性に乏しい情報が多く、学問的な議論の進展が遅れていた。今回は、現地語が堪能な著者を加えることで、議論の厚みを増すことができた。 特に、日本が戦後に受けた援助が、その後の日本の対外経済協力に与えた影響について体系的な研究はこれまで存在しなかった。米国の対日援助、世界銀行による対日援助を詳細に検討しただけでなく、今日の国際開発分野で中心的な話題の一つである中国、韓国、インドといった新興ドナーを考察する章を加えて、今日的なレレバンスを増すことができた。国際開発援助が西側ドナー中心で展開された時代から、アジア各国が援助潮流を作り出すという過渡期に、このような成果を英文で国際社会に向けて出版できた意義は大きいと考える。
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