2011 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶構造解析による細胞内及び細胞間での物質輸送の研究
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21227003
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
月原 冨武 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 特任教授 (00032277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 栄樹 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (00294132)
田中 秀明 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (40346169)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 膜蛋白質 / 蛋白質 / 超分子 / 輸送 |
Research Abstract |
高等な生物では、特定の分子を働くべき場所に輸送する仕組みがあり、そのことによって高度に制御された生命の営みが可能になっている。こうした輸送に関わる生体超分子の立体構造を決定して、その働きの仕組みを明らかにするのが本研究の目的である。細胞間輸送ではギャップジャンクション、細胞質から細胞外排出及び核内への輸送ではボルト、核外への輸送ではイクスポーティンを研究対象に取りあげている。 昨年度、核外輸送機構の研究の典型例として、Exportin-5・RanGTP・Pre-microRNA 3者複合体のX線結晶構造解析を行った。Exportin-5・RanGTによるPre-microRNAの捕獲の様子を明らかにするために、Exportin-5・RanGT2者複合体の構造解析に成功した。Exportin-5単体の結晶化を行っている。 細胞内での輸送に関わると考えられているボルトは分子量が10MDaを超える巨大な粒子である。ボルトの39量体構造を形成するのに重要と思われるC末端領域の構造が未知である。そのためには3Åを越える分解能の結晶を得る必要があり、ラット肝臓のボルトに加えて昆虫細胞の発現系でボルトの調製法を確立した。その結晶化にも成功して高分解能回折強度データを収集している。 構造に基づいて半チャネルが細胞間でドッキングしてチャネルを形成する際に鍵になるアミノ酸残基を特定することができた。N末ヘリックスの端にあるAsp2がチャネルの開閉に重要な役割を果たすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イクスポーティンは当初目標を超過達成している。ボルトは3オングストロームを越える分解能で構造決定をして、構造未確定の部分の構造を決定することを目指している。そのために発現系による試料調製法を確立できた。ギャップ結合チャネルは閉鎖型の構造を3オングストロームを越える分解能で構造決定して、チャネルの開閉機構を解明することを目指している。4オングストローム分解能の結晶を調製するところまで来た。ボルト、ギャップ結合チャネル共にまだ5年間の目標を達成していないが、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
イクスポーティンでは、Exportin-5単体の構造決定も行い、2者複合体、3者複合体の構造と合わせて、Exportin-5によるPre-miRNAの核外輸送の全容を解明する予定である。 ボルトの結晶は容易に劣化する。発現系で調製したMVPのみで構成されているボルトは両端に直径50Åの大きな穴が空いており、殆どの蛋白質も自由に通過できる。そこで発現系で調製したボルトを長時間透析して内部の不純物蛋白質成分を取り除いた上で結晶化を行う。これによって時間経過に伴う結晶の劣化を抑えることが期待される。 ギャップ結合チャネルは、6年以上掛けて発現・精製・結晶化を確立した人から引き継いで、徐々にその人のレベルに近づいて閉孔型の4Å分解能の結晶を得るところまで到達した実施者の膜蛋白質調製能力が着実に進歩しており、後一息と言うところである。Spring-8の微小結晶用ビームラインBL32XUを利用することによって高分解能データを収集する予定である。
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Research Products
(20 results)