2011 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系細胞間ネットワークにおけるシグナル機構の可視化解析
Project/Area Number |
21229004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 正光 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50133939)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 脳・神経 / 薬理学 / 生理学 |
Research Abstract |
本研究では、Ca^<2+>シグナルの未知機能解明とシグナル分子可視化解析を介して中枢神経ネットワーク機能研究を格段に進めることを目的としている。本年度の研究実績は以下の通り。 1-1)Ca^<2+>シグナルの新機能探索 脳に対する様々な傷害に対して、アストロサイトでは細胞内Ca^<2+>シグナルが形成され、これがアストロサイトのN-カドヘリンの発現を調節して、reactive astrogliosisを惹起し神経細胞の保護に関与することを、遺伝子改変マウスを用いて明らかにした。さらに、N-カドヘリンの翻訳を調節する新たな機構も明らかにした。論文発表の準備を進めている。 1-2)シュワン細胞によるミエリン形成制御機構 末梢神経の髄鞘形成に、ミエリン細胞内Ca^<2+>シグナルが関与することを明らかにした。しかも、このCa^<2+>シグナルは、神経軸索からの情報により、神経細胞の活動依存的に生じることも示された。ミエリン形成機構を明らかにする重要な発見であると考えられ、現在論文発表の準備を進めている。 2)グルタミン酸動態解析 グルタミン酸プローブ(EOS)を用いて、グルタミン酸可視化測定をマウス生体脳内測定へと拡張し、脳の自発活動との関連を解析している。 3)NOシグナル・Ca^<2+>シグナル連関機構 小脳皮質では平行線維電気刺激により、濃度数μMに達するNOシグナルが形成され、プルキンエ細胞のグルタミン酸感受性を高めてシナプス長期増強を誘発する。NOから長期増強に至る過程を追及したところ、プルキンエ細胞内のリアノジン受容体がNOにより活性化されるNOによるCa^<2+>放出機構(NICR)を発見し、これが長期増強に関与することを示す成果を得た。NICR機構にリアノジン受容体のS-ニトロソ化が関与することを明らかにした。さらに、NICRが虚血性脳障害に関与することを示す結果を得て、今年度論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画として(1)IP_3-Ca^<2+>シグナルの新機能探索、(2)グルタミン酸動態解析、(3)NOシグナル・Ca^<2+>シグナル連関機構を挙げた。全ての項目について、PNASおよびEMBO J.誌などに論文を発表している。さらに(1)の項目については他の研究計画について論文投稿の最終段階にあるなど、十分な成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、論文投稿の最終ステージにあるアストロサイトの研究についてはできるだけ速やかに発表に向けて進める。ミエリン形成機構についても、できるだけ早急に投稿可能な状態へ進めたい。
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[Journal Article] Nitric oxide-induced calcium release via ryanodine receptors regulates neuronal function2012
Author(s)
Kakizawa, S., Yamazawa, T., Chen, Y., Ito, A., Murayama, T., Oyamada, H., Kurebayashi, N., Sato, O., Watanabe, M., Mori, N., Oguchi, K., Sakurai, T., Takeshima, H., Saito, N. and Iino, M
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Journal Title
EMBO J
Volume: 31
Pages: 417-428
DOI
Peer Reviewed
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