2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21229007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒崎 知博 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (50178125)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 液性免疫 / 免疫記憶 / 存在部位 / メモリーTfh / 細胞増殖 / メモリー亜集団 |
Research Abstract |
本年度は、メモリーB細胞を活性化さすT細胞は特殊なサブセットかどうか等、T細胞側の詳細な解析をおこなった。 液性免疫の1次反応にはナイーブT細胞から転写因子Bcl6を用いてTfh細胞へと分化した細胞が、活性化B細胞と相互作用をして、このB細胞を更に活性化することが既に知られていた。2次反応(メモリー反応)においては、1)このエフェクターTfh細胞から生成されたメモリーT細胞(メモリーTfh)が、メモリーB細胞の迅速活性化には必須であり、又、このメモリーTfh細胞はCXCR5+で、B細胞領域、T-B境界領域に存在していた。すなわち、メモリーB細胞の近傍に存在していた。2)エフェクターTfh細胞はBcl6+であるが、メモリー状態(2次刺激前)ではBcl6は発現していないか、発現していても非常に低いレベルであった。又、2次反応を惹起するためには、Bcl6が再度オンになる必要があった。3)メモリーTfh細胞のBcl6の活性化は非常に迅速に生じ、この迅速活性化にはメモリーB細胞の抗原提示が必須であった。 このように、メモリー液性免疫を開始するためには、1次反応と相当異なった反応形式を取っていることが判明した。1次反応におけるナイーブT細胞の活性化には、2種類の細胞、樹上細胞(DC)とB細胞が必須とされているが、メモリーTfh細胞においては、メモリーB細胞のみで十分で、なおかつこれらメモリーB・メモリーTfh細胞が近傍に存在するという空間的有利さも手伝って、メモリーTfh細胞が迅速に活性化され、ひいてはこの活性化されたメモリーTfh細胞によりメモリーB細胞が活性化されると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画以上に進展しているパート(メモリーTfh細胞の生成機序及び活性化様式)と、やや遅れているパート(メモリーB細胞の長期寿命を支えるファクターの検索)が混在している。しかし、長期寿命メカニズム検定の基礎データもほぼ整いつつあり、次のステップに向かいつつある。このように、全体的には、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
できるだけ早く遅れているパート(長期寿命メカニズム)の挽回を図る。この点に関しては、すでに基盤データは得られているので、それをもとに研究のスピードの促進を図る。液性免疫記憶の迅速反応性に関しては、転写因子Bach2の発現レベルの重要性を世界に先駆けて発表し、国際的にも高く評価されている。したがって、そのパート、特にBach2の発現制御メカニズムの解明に関しては、一層の充実を図っていく。
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