2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク環境における前近代日本史史料の翻刻・編纂フレームワークの確立
Project/Area Number |
21240022
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
加藤 友康 明治大学, 大学院, 特任教授 (00114439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保立 道久 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70092327)
久留島 典子 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70143534)
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Keywords | 史料編纂 / 翻刻支援システム / 歴史知識情報 / 歴史情報学 / 系図・系譜 / 墨書土器 |
Research Abstract |
本研究においては、ネットワーク環境において前近代日本史史料の編纂を実現することを目的として、下記の3つの方向性から研究を実践している。 (イ)歴史史料解読のための翻刻支援システムの開発 翻刻支援システムを東京大学史料編纂所歴史情報システム(SHIPS)と連携のもと運用を実践し、多様な史料画像をベースにデータ生成を行った。蓄積されたデータの解析を通じて、XMLタグの修正等を施すとともに、テキスト分脈に依存した文字推定機能の向上を図った。 文字解析の対象に墨書土器群を加えるため長岡宮・京跡出土の刻書・墨書土器についてのデータを作成した。これらの墨書土器データをネットワークを介して検索可能とするため、Webのブラウザによる検索システムの開発を行ない、古代学研究所がこれまで集積してきた墨書・刻書土器データと合せて、平成22年度に導入したサーバ上に移行・搭載して、明治大学古代学研究所のホームページ上から公開した。 (ロ)知識化・知識利用システムの構築による蓋然性推定の高度化 知識化・知識利用システムを活用し、古代・中世の代表的系譜史料である「尊卑分脈」、近世系譜史料たる「寛政重修諸家譜」などを対象に、様々なメタデータを持ったデジタルデータの生成を進めた。この蓄積をもとに、SHIPS内の人物関係データベース群との連携にむけて研究・調整を進めた。さらに『春宮坊官補任』などの各種補任類や『日本霊異記』『古事談』などの説話集を対象に、人名・官職データの収集を行なった。 (ハ)史料画像デジタル化を前提としたネットワーク型編纂支援システムの開発 翻刻支援システムの機能拡張によってネットワーク型編纂の実現を図るべく、SHIPS内の目録系データベースとの連携・調整を進めた。SHIPSデータベースが持つ画像管理データ構造と、翻刻支援システムの構造を連携させるためのAPIについて構築にむけた検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基幹となる「翻刻支援システム」ならびに「知識化・知識利用システム」を構築し、既に大量のデータ蓄積を実践している。生成されたデータを有効活用し、既存の公開系データベースから発信することで、研究環境の改善に裨益するだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワーク型編纂の実現には、まだまだ取り組むべき課題が大きい。翻刻支援システムと史料編纂所がこれまでに生成してきた既存データベース群との調整には、まだ研究の余地が大きい。各データベースがそれぞれ独自に構築してきたロジックをいかに整合させ、翻刻支援システムとシームレスに応答させるのかを模索してゆかねばならない。史料編纂所本体との連携はもとより、関連する研究グループの協力を得て、継続的に取り組みを進めてゆく必要が大きい。
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