2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21240025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 真也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50273850)
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Keywords | Akt / シグナル伝達 / システム生物学 / 周波数応答 / ローパスフィルタ |
Research Abstract |
Akt経路は細胞成長を制御することにより、細胞の増殖や分化などさまざまな現象を制御している。本研究では、Akt経路による細胞成長の制御メカニズムを周波数応答解析と1細胞レベルの分布解析を行うことにより明らかにする。 我々はPC12細胞にEGFを様々な時間パターンで投与し、EGFRからAktを介して下流のS6まで伝わるシグナル伝達経路のダイナミクスとその特性を調べた。そしてEGFRの強い一過的な活性化よりも弱い持続的な活性化の方がS6の強い応答を引き起こし、上流と下流でシグナルの強度が逆転していることを発見した。我々は実験で観察されたダイナミクスを再現するシミュレーションモデルを作成しAkt経路の特性を解析した。その結果、Akt経路がローパスフィルタという信号処理特性を示すことを発見した。上流の強い一過的なシグナルは主に高周波成分、弱い持続的なシグナルは主に低周波成分で構成されているため、ローパスフィルタ特性によって弱い持続的なシグナルが選択的に下流へ伝えられてS6の強い応答を引き起こし、シグナルの強度の逆転が起きていた。また、我々はAkt経路のローパスフィルタ特性によって、ある種の抗がん剤(EGFR阻害薬)を投与した場合に投与しない場合よりもS6の応答が増加することを予測した。この予測を実験により確認し、EGFR阻害薬の作用を組み入れたモデルによって特徴を再現した。
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[Journal Article] Decoupling of Receptor and Downstream Signals in the Akt Pathway by Its Low-Pass Filter Characteristics.2010
Author(s)
Fujita, K., Toyoshima, Y., Uda, S., Ozaki, Y., Kubota, H., Kuroda, S.
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Journal Title
Science Signaling
Volume: 3(132)
Pages: ra56
Peer Reviewed
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