2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21240025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 真也 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50273850)
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Keywords | Akt / シグナル伝達 / システム生物学 / 周波数応答 / ローパスフィルタ |
Research Abstract |
本研究では、Akt経路による細胞成長の制御メカニズムを周波数応答解析を中心に行うことを目的とした。我々はPC12細胞にEGFを様々な時間 パターンで投与し、EGFRからAktを介して下流のS6まで伝わるシグナル伝達経路のダイナミクスとその特性を調べた結果、Akt経路が逐次一次反応で表現することができるローパスフィルタという信号処理特性を示すことを発見した。逐次一次反応はもっともシンプルな生化学反応であり、上記の特性はAkt経路に限らずシグナル伝達一般に認められる普遍的な性質であると考えられる。また、抗がん剤などの薬剤の濃度と、これに対する細胞の応答の強さとの関係は「感受性」と呼ばれ、薬剤の作用を知るうえで重要な指標として利用されている。 そこで、逐次一次反応と感受性の関係を明らかにするために、逐次一次反応経路において、刺激や阻害剤に対する感受性解析を行った。その結果、逐次一次反応経路においては、刺激に対しては上流より下流のほうが感受性が高く、逆に阻害剤に対しては上流より下流のほうが感受性が低くなることを理論的に見出した。さらに、PC12細胞だけでなくHUVEC、Swiss3T3細胞などさまざまな細胞種を用いて、上流と下流の刺激や阻害剤に対する感受性の検証を行ったところ、pEGFR、pAkt、pS6以外にもpERK、c-FOSなどのリン酸化や遺伝子発現において上流より下流のほうが感受性が低くなることを見出した。この感受性がどのような仕組みにより調節されているかについても理論的に解析したところ、分子の分解や不活性化などの負の制御機構が感受性変化を制御していることを見出した。 この原理によって、薬剤により、標的分子を十分に阻害できても、最終的な応答は必ずしも十分に抑制できないことが明らかになった。この原理の発見は、薬剤応答の予測や創薬デザインなどに役立つことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
23年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Journal Article] Temporal Coding of Insulin Action through Multiplexing of the AKT Pathway2012
Author(s)
Kubota, H., Noguchi, R., Toyoshima, Y., Ozaki, Y., Uda, S., Watanabe, K., Ogawa, W. and Kuroda, S.
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Journal Title
Molecular Cell
Volume: 46(6)
Pages: 820-832
DOI
Peer Reviewed
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