Research Abstract |
本学の「大学体育」を担ってきた体育センターの教育活動の成果問題点,元受講生である卒業生の現在の生活への影響などを明らかにするために,1:主に本学の諸組織から発行された「大学体育」に関する文献調査,2:OB教員および現役教員に対するインタビュー調査,3:卒業生へのアンケート調査を行った。 1:文献調査では,これまでの教育理念や目標,活動などの変遷を明らかにし,開学当初,大学設置基準の大綱化前および後と,本学の「大学体育」を時代の変遷とともに3つのカリキュラム概念基本構造に特徴付けることができた。2:インタビュー調査では,時代背景に即した幾つかのターニングポイントに関するエピソードが得られ,文献調査の結果を確認することができた。3:アンケート調査では,文献調査およびインタビュー調査で明らかになった内容に基づき,体育センターの教育活動やその効果,「大学体育」への認識などに関する質問項目を作成した。対象者は,所属学類,卒業年の割合を反映させ,かつ無作為に約2,000名を抽出した。583名より回答を得られたが,満足度や教育効果などに性別,年代別による差はみられず,今後さらに詳細な検討の必要が生じた。しかしながら,ここまで広範な卒業生を対象とした「大学体育」に関する調査はほとんど見当たらず,さらに吟味することによって,「大学体育」の本質と時代のニーズを反映させた新たな「大学体育」モデルの構築に向けた貴重な資料となり得る可能性が示された。また,海外の「大学体育」の実態調査や授業の評価法に関する文献調査を平行して行い,カリキュラムの再編とその評価法に関する実践的研究に向け,下準備が整えられた。 これらの活動に関して,『スポーツ教育におけるリノベーション-新たな「大学体育」をめざして-』と題したシンポジウムを開催し,本学内外の多くの研究者および教育者と幅広く意見交換を行うことができた。
|