2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活自立高齢者のための包括的な転倒予防システムの構築
Project/Area Number |
21240064
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
出村 慎一 金沢大学, 人間科学系, 教授 (20155485)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山次 俊介 福井大学, 医学部, 准教授 (40311021)
佐藤 進 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (90291757)
山田 孝禎 福井工業高等専門学校, 一般科目教室, 講師 (60413770)
|
Keywords | 加齢 / 老化 / 転倒予防 |
Research Abstract |
本研究は、主に自立生活可能な高齢者の転倒を未然に防ぐために多様な転倒リスク要因を把握するスクリーニング調査の開発(課題1)、転倒に関連する身体機能改善プログラムとその評価テストの開発(課題2)、さらに転倒時に骨折させないための動作の解明および衝撃を軽減する装具の開発(課題3)を目的とし、包括的な転倒予防・機能回復システムを構築することを目指す。本年度は昨年度に引き続き、それぞれの課題について独立に取り組んだ。課題1では、昨年度実施した予備調査の項目選択を踏まえて、1122名の地域高齢者を対象に本調査を実施した。易転倒性、身体機能、疾病・身体症状、環境および行動・性格の各下位要因からなる50項目に、転倒経験の有無を加えたスクリーニング調査票が開発された。さらに、各リスク要因の得点から転倒リスクプロフィール評価法の開発を試みた。高転倒リスク者(易転倒性得点により判定)のcut-off値に相当する転倒発生率を超えるリスク得点を示した場合、その被験者は当該要因に「リスクがある」と解釈した。各要因のリスクの有無をクロス集計し、該当者の多い転倒リスクパターンを検討した。各要因の素点を転倒発生率に置き換えたことで、要因間の一次元での比較が可能となった。課題2では、転倒に関連する身体機能テストとして新たに画面指示に応答してステップするテストや脚をクロスして素早くステップする敏捷性テストなどを開発し、その信頼性、性差、年代差などを検証した。また、これらのテストパフォーマンスは、転倒を回避する能力を捉える可能性が示唆された。 課題3では、変形性膝関節症など下肢関節に不具合や疼痛を有している高齢者や転倒恐怖感を有する高齢者を対象に、転倒経験や身体機能を調査し、その特性を検証した。その結果、変形性膝関節症は歩容に影響を及ぼすこと、転倒恐怖感の高い高齢者は歩行能力が低いことなどが明らかにされた。
|