2011 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏物質輸送モデルへのデータ同化手法の導入と新展開
Project/Area Number |
21241003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓本 桂也 気象庁気象研究所, 台風研究部, 研究官 (50607786)
広瀬 直毅 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (70335983)
山地 一代 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40399580)
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Keywords | 物質輸送モデル / データ同化 / 衛星データ / 地上観測 / 海洋モデル |
Research Abstract |
アジアスケールの物質輸送モデル解析とデータ同化手法のモデルの応用を進めた。まず2000-2010年の10年スケールのMODIS衛星で計測されたエアロゾル光学的厚さ(AOD)の経年変化を富山県立山での微粒子の計測データも加味して解析し、経年変化が2006年頃を境目として上昇傾向から下降傾向に変化することを確認した。これについてのモデル解析でも同様の傾向が見られることを示した。MODIS AODとSCIAMACHY衛星センサーで計測されたSO2の対流圏カラム濃度の経年変化から最近の中国でのSO2排出量の逆推定が可能であることも報告した(Itahashi et al.,ACP2012)。 また、全球エアロゾル輸送モデルSPRINTARSを用いて、2010年春季に頻発した北太平洋を横断して北米大陸に輸送されたアジア起源ダストの輸送過程と2010年に特有の気象条件を明らかにして、黄砂輸送モデルの精度向上と発生量のインバージョンの際の留意点を示した(Uno et al.,2011)。 US.EPAの対流圏物質輸送モデルCMAQ(Community Multi-Scale Air Quality Model) Version 4.7.1にHiger-order Decoupled Direct Method (HDDM)を導入し、アジア域のソース・リセプター解析を進めた。導入のテストを兼ねて、中国起源のSO2/SO4のソース・リセプター解析を行い、先に示したItahashi et al.(2012)の結果の妥当性が確認された。その結果は現在アメリカ化学会の学術雑誌Environ.Sci.Techに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きな目的の一つであるHDDMを用いたソース・リセプター解析が研究開始3年目でほぼ達成されている。また、これを既存のGreen関数モデル法と組み合わせることで発生量のインバージョンが可能であることから、最終年度の成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進んでいる。最終年度はアジア域のCO発生量をTagged CO Tracerモデル+Green関数モデル法、HDDMを組み合わせた研究を進め、対流圏物質輸送モデルへのデータ同化手法の導入の一様の完成を目指す。
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Research Products
(3 results)