2011 Fiscal Year Annual Research Report
LCAに基づく金融商品の環境パフォーマンス定量化手法の開発と活用のための制度設計
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21241013
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
稲葉 敦 工学院大学, 工学部, 教授 (90356494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 成昭 東京大学, 工学系研究科・システム創成学会, 准教授 (90401299)
本田 智則 産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (00425745)
岸本 充生 産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 主任研究員 (60356871)
田原 聖隆 産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 主任研究員 (10344160)
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Keywords | SRI(社会的責任投資) / 行動経済学 / 環境投資 / CSR(企業の社会的責任) / 地球温暖化 / プロスペクト理論 / 投資指標 / 制度設計 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までに構築してきた「企業の環境パフォーマンス定量化手法」が実際の市場において、どのように活用され、証券市場における価格形成に与える影響について研究を実施した。 サブテーマ1については震災の影響から、温室効果ガス排出データの公表が遅れたため、現時点で最新データとなる2008年度データに基づいた理論研究に留まった。 サブテーマ2については、昨年度に行ったSRI市場の経済実験を拡張し、複数種類の設定で実験を行った。過去のSRIに対する意識調査のアンケート結果に基づき、環境に配慮する投資家とそうではない投資家の2グループに分けて効用関数を設定し、それらのグループ間で経済実験での株価に影響が出るかを調べた。結果として、まだサンプル数が少ないために統計的に有意な差は得られていないが、意思決定に異なる傾向が現れており、企業の環境パフォーマンスに係る株価形成メカニズムの解明に寄与する結果が得られたと考えられる。次年度は統計的に有意な結果を得るべく引き続き追加実験を行う必要がある。 サブテーマ3については、SRI市場のシミュレーションを実施し、プログラム作成に着手した。被験者を用いた経済実験と並行的に進めているが、シミュレーションの実施については、実験結果を反映させたエージェントモデルの構築が必要であり未だ十分な成果は得られていないが、来年度に早急に進める予定である。 新たに得られた知見として環境配慮型投資が、投資家の意思決定プロセスにおいて通常の株価形成理論から乖離した行動が観測され、その点について分析を行う必要が新たに発生した。具体的には、環境に配慮した投資が行われている場合、株価の上昇局面においては環境プレミアムが形成されるが、株価下落局面において環境プレミアムは急速に縮小する。結果としてグリーン投資が促進された場合、環境プレミアムがバブルを発生させる可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ1から3のうち、サブテーマ1,サブテーマ2については当初予定以上の成果を上げているがサブテーマ3で実施しているエージェントモデル作成で遅れが見られる。また、外的要因としてサブテーマ1で仕様を予定していた2009年度事業所別温室効果ガス排出データの開示が、震災の影響により約1年遅れたためデータベースの構築に遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
開示が遅れていた2009年度事業所別排出データが2012年3月末に開示されたため、これを既存データベースに反映する。また、エージェントモデルの構築についてはアルゴリズムについては研究者が開発し実装を外注することで開発を急ぐ。2012年度はサブテーマ1から3の成果を統合し、仮想市場を活用した経済実験を行う。これらの結果を集約し最終年度の成果としてとりまとめを行う。
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Research Products
(12 results)