2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代中東・アジア地域における紛争・国家破綻と社会運動
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21241056
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
酒井 啓子 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (40401442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 正人 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90242073)
松永 泰行 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (20328678)
井上 あえか 就実大学, 人文科学部・総合歴史学科, 教授 (30388988)
松本 弘 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (10407653)
宇山 智彦 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (40281852)
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Keywords | 地域間比較研究 / 紛争研究 / 社会運動 / 体制比較 |
Research Abstract |
本研究は、現在の国際政治情況において中東、アジア地域を中心に頻発している紛争状況を分析し、紛争の結果生ずる国家機能の阻害要因となる諸社会政治的要因を研究するものである。平成23年度は、特に2010年末から11年にかけて発生したアラブ諸国における反政府路上抗議運動の高揚と長期政権の転覆という政治的大変動(いわゆる「アラブの春」)を反映して、路上抗議運動をも広義の紛争と捉え、国家体制の変容と抗議運動との連関性に焦点を当てた研究を行った。昨年度、一昨年度同様、分担者及び協力者が研究対象地域に赴いてデータ収集と分析を行うとともに、最終年度である平成23年度は、成果の取りまとめ作業に力点を置いた。そのため、分担者に加えて「アラブの春」発生事例として対照的な展開を辿ったエジプト、シリアの現代政治や社会運動に関する研究者、変動に直面して体制護持への新たな努力を迫られているサウディアラビアやヨルダンに関する研究者など、現在進行中の紛争状況を中東全体で包括的に理解するために幅広い分野から講師を招き、合宿形式でインテンシブな討論を数日にわたり集中的に行った(9月神戸大学、2月日本大学国際関係学部)。 また紛争が国家体制に与える影響や民主主義や選挙制度などの制度の役割、さらには紛争当事国を取り巻く国際環境の変化を考察するうえで、地域専門家に限らず比較政治学、国際政治学などの理論を十分踏まえた議論を展開することが必要であるが、そうした政治学理論の専門家を講師に招き、分担者の研究報告に対して政治学理論の観点から批判的なコメントを加えていただいた(12月本学本郷サテライトでのワークショップ)。またアフリカ、南東欧など同じく紛争経験国の事例と比較するため、こうした地域の専門家の招聘も国内外から積極的に行った。
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