2009 Fiscal Year Annual Research Report
多言語重層構造をなすインド文学史の先端的分析法と新記述
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21242009
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
水野 善文 Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (80200020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 守男 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90143619)
萩田 博 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (80143618)
太田 信宏 東京外国語大学, アジアアフリカ言語文化研究所, 准教授 (40345319)
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Keywords | 多言語社会 / 言語横断的 / 口頭伝承 / 文学的教養 / 文学の場 / 説話モチーフ |
Research Abstract |
2009年5月30日第1回目の研究会を開催し、連携研究者、研究協力者を含め総勢30名をこすメンバーが集合し、5カ年の計画・作業手順を話し合った。個人的作業のほかに、共通の課題設定によって多言語社会であるインドの言語横断的な文学史の共同執筆への態勢を確認した。 そうした共通テーマに基づく研究の途中経過報告として、10月4日、日本南アジア学会第22回全国大会(北九州市立大学)では「歴史における文学的教養とその場」と題するパネルを主催した。研究分担者および連携研究者5名が、古代から現代までをカヴァーする形で報告した。古典期から中世にかけては、宗教儀礼に関わる文献が民間で口頭伝承されていた様子や、寺院経営との絡みから文芸が功利的に援用される側面などが指摘されたほか、イスラーム王権下での文芸の有り様や英語を媒体とした現代インド文学の様相の一部も報告された。 7月下旬ルーマニアで開催された国際バクティ学会には、代表者と連携研究者2名、協力者1名が参加し、中世後期の帰依信仰文学に関わる研究報告をそれぞれおこなった。そのうち代表者の報告は宗派が創作した聖者列伝に列挙される架空の人物にまつわる説話モチーフを歴史的にたどり、西洋においてキリスト教の聖者列伝に見られるのと同様に、説話のポピュラリティーに宗派側が擦り寄っていったという説を展開した。また、9月初旬の国際サンスクリット学会でも、代表者および連携研究者数名が報告した。とりわけ「サンスクリットと地方の言語および文学」部会は本科研の趣旨にそったものであり、世界に発信するという点でも有意義であった。 12月19日、第2回目の研究会をもち、オランダから来日中の研究者によるサンスクリット詩の創作法に関する文献写本に関する報告などを受けるとともに、今後の具体的な進め方についても、数名からなる運営委員会を発足させて、進捗を諮ることに決した。 こうした作業の一方で、GIS(地理情報処理)ソフトの導入に向けても、その知識に詳しい者の協力を得て始動している。
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Research Products
(4 results)