2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代世界におけるジェノサイド的現象に関する歴史学的研究
Project/Area Number |
21242016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30212898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木畑 洋一 成城大学, 法学部, 教授 (10012501)
栗本 英世 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10192569)
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (30188750)
古矢 旬 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90091488)
佐藤 安信 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90313981)
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Keywords | ジェノサイド / 民族浄化 / ホロコースト / 近代 / 国民国家 / 戦争 / 植民地主義 / 過去の克服 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ジェノサイドの多様な事例をとりあげ、その要因と動態を比較検討するとともに、ジェノサイド後の平和構築のあり方とジェノサイド予防の可能性についても考察を進めた。主な調査活動として、「カンボジア特別法廷」(プノンペン)を石田と佐藤が視察し、クメール・ルージュ裁判の進捗状況とその問題点および裁判資料の電子アーカイブ化と学術利用の可能性について、法廷関係者と意見交換を行った。ナチ・ジェノサイドについて、スイスの荷担の実態とその反ユダヤ主義の特質を調査するため、穐山がスイス国立図書館で資料調査を実施した。 今年度は研究内容の公表にも力を傾注した。その主な成果は、石田が武内進一(国際協力機構)と編集した『ジェノサイドと現代世界』(勉誠出版)の公刊である。本書は「ジェノサイド研究への視座」、「ジェノサイドの事例研究」、「ジェノサイド予防」の3部で構成され、本科研分担者・協力者の中間的成果を中心に、17本の論文を集めたジェノサイドに関する日本初の本格的研究書となった。今年度は、この中間成果のとりまとめと並行して『ジェノサイド事典』(概念篇・事例篇の全2巻)の編集作業にも取り組んだ。口頭発表では、公開ワークショップで、大野旭(楊海英)と協力者の渡部真由美、クロス京子がそれぞれ、文化大革命時のモンゴル人虐殺、加害者分析、和解と修復的正義に関する研究報告を行い、日本平和学会・分科会「ジェノサイド研究」を兼ねた研究集会では、協力者のクロスと澤正輝がそれぞれ混合法廷とローカル正義、ジェノサイド研究の発展について報告を行った。この他、イスラエルとホロコーストの関係をテーマとするシュロモー・サンド(テルアビブ大学教授)の講演会を開催し、あわせて佐藤が国際シンポジウム「ポル・ポト時代の大虐殺、癒えない傷、和解への道」の開催に携わった。
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Research Products
(38 results)