2010 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産エルデニゾー僧院に関する総合的研究―過去の復元から未来への保存へ―
Project/Area Number |
21242022
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
松川 節 大谷大学, 文学部, 教授 (60321064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 伸一郎 大谷大学, 文学部, 講師 (00367921)
二木 博史 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90219072)
井上 治 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (70287944)
二神 葉子 東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (10321556)
中村 和之 函館工業高等専門学校, 教授 (80342434)
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Keywords | 国際研究者交流 / 内陸アジア史 / モンゴル / 考古学 / 仏教学 / ユネスコ世界文化遺産 / 保存科学 / 文化人類学 |
Research Abstract |
モンゴル国に現存する世界文化遺産エルデニゾー僧院の保存・保護に向けて,「過去の復元」(考古学・歴史学),「現在の利用」(建築学・文化人類学),「未来への保存」(文化財保存科学・仏教美術史)という3つの観点から,基礎研究と現地における本調査を行った。基礎研究及び現地調査(2010年4月29日~5月7日,8月10日~8月17日,9月13日~9月22日,12月25日~12月30日)の成果は5月22日及び10月23日に大谷大学にて開催された研究集会にて報告された。 2010年度の現地本調査は,1) アルタン・ソボラガ仏塔の2面の摩耗碑文(モンゴル語・チベット語)のレーザー光による解読2) エルデニゾー内のゴルバンゾー寺の保存修復状況の調査と提言3) ゴルバンゾー寺の計測と,その起源をめぐる建築史的研究4) ゴルバンゾー内のガンザイ壁画の模写作成と研究5) エルデニゾー院内の考古学的発掘調査による成立過程の研究,以上の項目について行われた結果,1) については16世紀末に建立されたこの寺院が18世紀にいかに発展していたかが解明されること,2) 本寺院は2004年に世界遺産に指定された後,現在に至るまでの保護・保存において問題が検出されていること,3) 従来,エルデニゾー僧院は内モンゴルの寺院をモデルに設計されたと考えられていたが,今回の比較研究により,そうではないことが判明したこと,4) 守護神に供物を捧げる様を描いた仏教的ガンザイ壁画をチベットのものと比較することにより,モンゴル的要素を抽出できると判明したこと,5) エルデニゾー立地点における8世紀~20世紀までの考古学的文化層について基礎データを収集したこと。以上の成果を得た。一方,エルデニゾーの成立史に関わる18世紀の未発表文書2件については,出版権処理が滞り今年度中には公表できなかったが,これは2011年度に公表できる目処が立っている。
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Research Products
(4 results)