2011 Fiscal Year Annual Research Report
大阪上町台地の総合的研究-東アジア史における都市の誕生・成長・再生の一類型-
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21242031
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
脇田 修 公益財団法人大阪市博物館協会, 大阪文化財研究所, 会長 (50027968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 秀雄 財団法人大阪市博物館協会, 大阪文化財研究所, 次長 (70344380)
田中 清美 財団法人大阪市博物館協会, 大阪文化財研究所, 総括研究員 (10344368)
趙 哲済 財団法人大阪市博物館協会, 大阪文化財研究所, 総括研究員 (20344369)
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Keywords | 考古学 / 日本史 / 地理情報システム / 都市計画 / 大阪 / 上町台地 / 古環境 |
Research Abstract |
本研究は、大阪上町台地を対象に、地理情報システム(GIS)を活用して古環境変化を復元し、考古学・文献史学との協働により、誕生・成長・再生をくりかえす都市大阪の、時代に合わせた都市計画・土地利用・産業・交通などの実態と、その意義をさぐることを目的とする。3年次も約20名の研究者(分担者・協力者)を組織し、「古環境GIS」「考古情報」「文献情報」の3チームにより研究をすすめた。 「古環境GIS」では、数千点の発掘調査データの入力、数百点のボーリングデータの整理をおこない、本研究に有効活用できるよう検索・表示方法を改良した。自然科学分析を補強し、主要時期の古環境の復元のため、地形学図と古植生図の作成を段階的にすすめている。また「考古情報」と共同し、難波宮期以前の古環境復元と遺跡の動態に関するシンポジウムを開催した。 「考古情報」では、難波宮以前の都市発展の研究のため、窯業などの生産と流通をさぐる分析や現地調査、交通に関する研究、集落・官衙に関する研究等を、個々に進めた。また、都城制研究会を定期的に開催して難波宮期や廃都後の研究を進め、中近世の時期については「文献情報」と共同し、主に他地域との比較研究を重点的におこなった。 「文献情報」では、港湾と中世都市に関するシンポジウムを開催し、大阪に関する歴史事項の文献史料データベースの作成をすすめた。 本研究の意義は、都市と呼べる性格が連綿とつづく日本で類まれな地域である上町台地という対象の特異さ、膨大な発掘データが蓄積された資料上の有利さ、地形・地質・植生・考古学・文献史料等のデータで構築したGISの活用という方法上の新しさ、以上の3点にある。3年次は、GIS構築のためのデータを蓄積した後、古地形図・古植生図作成による古環境復元、各時期にわたる個別テーマに関する考古学・歴史学の研究を進展させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
詳細な地形・植生の復元作業を進めており、考古学・歴史学的な研究については、現地調査・シンポジウム・研究会などにより、通時代的に構成可能なよう各人が個々の得意分野で研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.地域的・時代的なデータの欠落部分を補い、四つの時期にわたり、詳細な古地形図・古植生図の作成による古環境復元をおこなう。 2.各時代・事項に関する各人の研究成果を互いに関連させ、途切れないように通時代的に構成する。 3.1の古環境を舞台に、それと十分に関連させ、2の研究を発展・充実させる。 最終5年次後半の総合的なシンポジウムと各人執筆の成果報告書の作成を念頭において、4年次に上記の1~3を可能な限り推進する。
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Research Products
(12 results)