2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイエンスにおける知識生産プロセスとイノベーション創出の研究
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21243020
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
長岡 貞男 Hitotsubashi University, イノベーション研究センター, 教授 (00255952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 学 一橋大学, イノベーション研究センター, 教授 (30280902)
伊神 正貫 一橋大学, イノベーション研究センター, 特任准教授 (70371002)
伊地知 寛博 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40344072)
大湾 秀雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60433702)
楡井 誠 一橋大学, イノベーション研究センター, 准教授 (60530079)
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Keywords | サイエンス / イノベーション / 科学者 / 知識 / サーベイ |
Research Abstract |
日本のサーベイの質問票を設計し、同時に発送名簿を完成させ、科学者約7500名による研究プロジェクトを対象とするサーベイを行い約2000名から回答を得ることが出来た。そのうち約3分の1が引用頻度において上位1%の論文を生み出したプロジェクトである。暫定的な集計結果は、米国のNSF、文部科学省科学技術政策研究所と共同の国際ワークショップで報告し、高い評価を受けた。 回答科学者の属性:約80%の回答者が大学の研究者であり、10%強が政府系の研究機関、民間企業を含めてその他が10%弱であった。また約80%の回答者が研究プロジェクトのマネジメントに関与していた。 回答発明者の流動性:約35%の科学者が調査対象論文の執筆以前5年間の間に組織を移動していた。また約50%の科学者が1年以上海外に研究滞在したことがある。 研究プロジェクトの動機:基礎原理の追求が約50%、現実の具体的な問題解決が約25%であり、前者の割合は上位1%の論文でより高かった。両者の動機がともに非常に重要な研究(パスツールの象限に属する研究)は全体で約9%存在し、その割合は材料科学で特に高かった。 研究過程:約5%のプロジェクトで研究プロセスが当初の予定と異なり、また約2割のプロジェクトで研究成果は当初の予定を大きく上回る結果であった。また、研究成果が当初提起していなかった研究課題に回答を見出すことにつながった(セレンディピティ)割合は7割とかなり高かった。こうした不確実性はいずれも上位1%の論文でより高く、サイエンス研究における不確実性の積極的な重要性を示している。 研究競争:研究プロジェクトを開始した際の認識として海外の競争相手を認識していた場合は、約4分の3あり、その割合は上位1%の論文でより高かった。プライオリティー競争を非常に心配していた研究の割合は9%であり、上位1%の論文では17%と高かった。 パフォーマンス:基礎原理の追求、異分野の融合、若い学者の参加、研究コミュニティーの発展と高い相関がある。
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Research Products
(4 results)