2010 Fiscal Year Annual Research Report
病・ストレスと生きる人々の支援科学としての健康社会学の実証及び理論研究と体系化
Project/Area Number |
21243033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 喜比古 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10174666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 洋士 放送大学, 教養学部, 教授 (60375623)
伊藤 美樹子 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80294099)
石川 ひろの 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40384846)
戸ケ里 泰典 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20509525)
坂野 純子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70321677)
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Keywords | 健康社会学 / 保健・医療・福祉 / ストレス対処 / 病と生きる / 逆境下成長 / Sense of Coherence / 健康生成モデル / 人生再構築 |
Research Abstract |
第2年度目に当たる平成22年度には、三つのテーマ領域に関する健康社会学的実証及び理論研究を進めた。 健康的な「働き方」と「働かせ方」に関する研究では、3種類の調査研究が行われた。うち2種類の研究は、参加型組織風土と「働きやすく且つ働きがいもある」職場それぞれが働く人々における精神健康度の確保に対し、直接的のみならず、ストレス対処力SOC (Sense of Coherence)の維持・向上を介して間接的にも強く影響している可能性を示唆する研究結果を明らかにしてきた。三つ目には、入職後1年目での離職率が高いことで知られる新人看護師を対象に、職業的コミットメントとSOCとの相互作用的あるいは循環的関係性の検証・解明を目的として1年間の追跡調査を実施してきた。 「病と生きる人々」の人生再構築に関する研究では、彼(女)らの人生にもたらされた困難や苦痛とともに、それらに対する対処と適応努力にも光を当てて、病ある(または、病者のいる)人生の再構築過程の全容とそこにおける問題の整理・把握を目的として過去または初年度来進めてきた二つの調査研究の結果をそれぞれ書籍と論文にまとめて公表した。書籍のタイトルは『健康被害を生きる-薬害HIVサバイバーとその家族の20年』であり、論文は広汎性発達障害児を抱えた母親たちの次子出産へのジレンマとニーズに関するものである。 健康生成論とストレス対処力概念SOCに関する研究では、薬害HIV感染生存患者の事件発生後20年間における「逆境下成長」とSOCとの相互関連性の検討、慢性疾患自己管理支援プログラムの受講患者における受講経験及び受講による内面の変化の自己評価と受講前後のSOCの回復・向上との相互関連性の検討、HIV感染者のSOCの高低別に見た対処のし方や遭遇環境の違いの検討を通して、SOCの具象化(「見える化」)と支援施策としての具体化に役立つ知見を得た。
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Research Products
(30 results)