2012 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期の個体・環境要因が児童期の社会的行動に及ぼす影響についてのコホート研究
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21243039
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
河合 優年 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (00144098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00112003)
佐々木 惠 武庫川女子大学, 教育研究所, 助手 (00611344)
莊厳 舜哉 京都光華女子大学, 人文学部, その他 (10121732)
石川 道子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (30193288)
山川 紀子 独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター, 臨床研究部, 研究員 (40345989)
難波 久美子 武庫川女子大学, 教育研究所, 助手 (40550827)
小花和WRIGHT 尚子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80249424)
田中 滋己 独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター, 臨床研究部, 研究員 (90252345)
松浦 均 三重大学, 教育学部, 教授 (90257577)
山本 初実 独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター, 臨床研究部, 研究員 (90416199)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | コホート / 社会性の発達 / 母子関係 / 画像解析 / 発達データセットの構築 / 情動統制 / 発達モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、児童期における社会性をメインアウトカムとして、縦断データの検討から発達初期の生物学的・社会的要因の効果を明らかにしようとするものである。24年度は、三重中央グループの胎児と母体との生物学的なマッチングに関する研究が大きく進展し、臍帯血漿中のACTH、β-endorphin、cortisol、HLA-Gと、母親の対児感情、ストレスとの関係が明らかとなってきている。このことにより、エクスポージャーとしての生物学的な特性の同定が進んだ。この結果報告については25年度開催の学会にエントリー済みである。母子関係などの発達初期の社会的環境の同定も順調に進んでいる。このグループでは母子の相互作用場面における両者の相互作用リズムパターンが後の社会性と関係していることを明らかにしつつある。これ以外にも、モーションキャプチャーによる他者との相互作用時の頭部運動の解析が進んでいる。ここでは、エックス線診断のように運動軌跡を直接読解できないか作業が進んでいる。 これらの個別の研究に加えて、24年度からはデータセット全体を用いた、発達モデルの構築が進んでいる。KIDSのDQを指標として、多変量の発達的変化について解析を進めている。現時点での解析では発達が遺伝的な要因と環境の交互作用によって形成されることが確認されているが、時間軸の中でそれらが力動的に変化することが示唆されている。解析結果の一部は、25年に報告される。 25年は対象児がすべて小学校に入学し、先行している対象児が小学校3年生になる。学童期における社会性との関係性検討がさらに進むと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果物の外部評価は、現時点では少数ではあるが査読論文として刊行されていることから、一定の評価を得ていると考える。 自己点検結果については、概ね目標は達成されていると評価する。明らかに成りつつある結果が、発達心理学に与えるであろう影響は大きく、グローバルな評価に耐えうるものであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は25年度に最終年度をむかえる。研究は、データ収集、データクリーニング、データ解析、発達モデルの構築、データセットの構築、関連機器・ソフトの開発という、複合的な作業を、小児科学、発達心理学、統計学、行動学の共同作業の中で進めている。研究の年度進行に伴う予算の縮小とそれに伴うマンパワーの脆弱化が生じている。確認されつつある成果は、医学的にも発達心理学的にも重要なもので、発達過程における遺伝と環境に関するワディントンのモデルに修正をかけうるものである。今年度は、研究助成が終了した後も蓄積された知見とデータが四散しないような方策を考えながら、本研究計画の最終段階を進めたい。
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Research Products
(20 results)