2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 正彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10183914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 宏 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (00425406)
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Keywords | 天文学 / 光学赤外線天文学 / 波面補償光学 / 系外惑星 / ドップラー法 / 惑星系形成 / 高分散分光 / 回折格子 |
Research Abstract |
本研究課題では高安定な赤外線高分散分光器の実現を目指しており、この為には装置の小型化を可能にする、全く新しい技術に基づいた次世代の分散素子が必要となる。この分散素子の一つの候補として、高屈折率を持つ材質を媒質に使用した「イマージョン回折格子」が世界各地で活発に検討されている。本研究では、日本の極めて優れた半導体製作技術を生かし、Si基板へのイオンビームエッチングを行うことで、「イマージョン回折格子」に要求される超高精細(約30μmピッチ)な回折格子溝を精度高く形成するアプローチを取る。既に、前年度(平成21年度)の科学研究費補助金を用いて、実際の高分散分光器に適用できる大面積(約30mmx約70mm)のSi基板に対して溝作成を行った。その結果、良好な溝刻印(ピッチ誤差約8nm)を達成し、Siイマージョン回折格子の実現に大きく前進した。この技法を用いた場合、最終的な「イマージョン回折格子」の完成の為には、溝刻印された基板に対して適切なプリズムを組み合わせなければならない。必要な光線の入射角度が異例に大きい為(約70度)、Si基板とSiプリズムの接合面においては数nmという非常に高い密着度が要求される。平成21年度には、Siからなる小面積(10mmx20mm)板と小プリズムとの接合試験を行い、"純水洗浄+高温アニーリング"の接合製法が効果的であることを既に見出している。そこで、平成22年度では、実機大面積の高精度接合に繋げるステップとして、中型品(面積20mmx33.5mm)の接合試験を行った。面積の増加は基板全体の面精度の低下を招くため、面精度の劣化が接合に与える影響を把握する上で極めて重要な過程となる。赤外線カメラを用いて接合面の透過特性を慎重に吟味した結果、面精度の劣化(約λ/2)の影響なく、接合部において97.6%という高い透過率を達成し、大面積実機の総合組み上げへの展望を開いた。
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Research Products
(9 results)