2009 Fiscal Year Annual Research Report
スピンゼーベック効果と熱流-スピン相互利用の系統的研究
Project/Area Number |
21244058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 英治 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (80338251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 安仁 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70312642)
家田 淳一 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20463797)
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Keywords | スピンゼーベック効果 / スピントロニクス / スピン流 / 熱電効果 |
Research Abstract |
モット絶縁体であるYIGもスピンゼーベック効果を示すことがわかった。スピン圧は逆スピンホール効果により電圧に変換できるため、絶縁体中の熱流から電力を取り出す初めての現象である。LPE法で作成した単結晶YIG膜の面内方向に磁場と温度勾配を印加したところ、YIG膜に取り付けたPt薄膜線の両端に電圧が生じた。この電圧は、温度勾配に対して三角関数的振る舞いを示し、温度勾配に比例することが観測され、スピンゼーベック効果の予言と合致する。また、膜面に対して垂直に温度勾配を印加した場合でもこの効果が発現することがわかった。YIGは2.6eVという大きなモット電荷ギャップにより、個別の電子励起は禁止されている。残る自由度は、スピンの集団励起のみである。本系は磁気異方性が大変小さく、スピン波励起のギャップは小さい。スピンゼーベック効果のキャリアとしては、このスピン波が唯一の候補である。そこで、スピン波によるスピンゼーベック効果を評価するため、YIG/Pt界面スピン混成コンダクタンスを取り入れたモデルを用いた現象論構築及びケルディッシュの方法によるスピン圧の評価を行った。その結果、界面スピン混成コンダクタンスの大きさが評価され、強いスピン剛性相互作用と弱いスピン-格子相互作用により、pt直下のスピン波温度とPtの電子温度(Pt直下のYIG格子温度と等しいと考えられる)に分布関数の差が生じ、これによるYIGからの熱的スピンポンプとPtからのバックフローがキャンセルアウトされないことが起源と解釈される。
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Research Products
(28 results)