2009 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気環境で促進される生命史-現場観測・培養・遺伝子から解く有孔虫進化のパラドクス
Project/Area Number |
21244079
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
北里 洋 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 海洋・極限環境生物圏領域, 領域長 (00115445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 一将 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究主任 (10359177)
土屋 正史 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (00435835)
豊福 高志 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (30371719)
野牧 秀隆 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (90435834)
力石 嘉人 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (50455490)
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Keywords | 嫌気環境 / 有孔虫 / 多様性 / 進化 |
Research Abstract |
「海生真核単細胞生物は無酸素環境に広く生息している」ことから、「無酸素海洋で海成真核単細胞生物は進化する」ことができると考えられる。そのメカニズムの解明のために、貧酸素環境に生息する真核単細胞生物の適応様式、生態を明らかにすることを目的としている。 本年度は、(1)好気-嫌気環境の微小環境測定と有孔虫の群集解析と実験用個体の採集、として、静岡県下田湾、相模湾、日本海において底層の環境計測と各種飼育実験、および飼育用個体の採取を行った。飼育実験では、酸素濃度の異なる海域の有孔虫の有機物消費の定量や、細胞内小器官の観察を行った。(2)透過型電子顕微鏡観察を行い、さまざまな環境に生息する有孔虫の食性、細胞内小器官の分布を明らかにし、生息環境との関連を考察した。生息環境ごとに細胞小器官の分布などが異なることが示唆された。(3)各地の嫌気環境に生息する有孔虫とその共生細菌の系統関係を明らかにするため、DNA解析用の個体を採取した。(4)好気環境から極低酸素環境に生息する有孔虫の代謝を明らかにするため、室内で生息環境を再現するための精密飼育装置を開発し、飼育実験を開始した。また、現場での活性を調べるための現場培養実験も、好気的な日本海海底で行い、嫌気環境での生物群集、代謝との比較を行った。(5)有孔虫の殻内有機物の分析を行うための有孔虫個体を採取、拾い出しを行った。 以上の結果について、学会で経過報告を行い、論文25編にまとめて公表した。
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