2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244082
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 栄一 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40144779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏弘 独立行政法人海洋研究開発機構, その他部局等, 研究員 (40235974)
濱田 盛久 東京工業大学, 理工学研究科, 研究員 (60456853)
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Keywords | マグマ / マントル / 惑星形成過程 / マグマオーシャン / コアマントル平衡 / コア形成 / 元素分配 / マントルプルーム |
Research Abstract |
本科研費を用いて平成21年3月に東京工業大学に導入した全真空型の顕微FT-IR装置を用い、平成23年度は含水鉱物及び無水鉱物(nominally anhydrous mineral)中のOHおよびH2Oの検出と定量分析のための技術開発を行った。従来のFTIR装置では光路中にある大気のH2OおよびCO2の吸収スペクトルのために邪魔されて測定が困難であった10ppm以下のOHおよびH2Oの分析が可能となった。この技術開発の結果、浜田は斜長石中の微量の含水量の定量分析によるマグマ脱水過程の解明した(Hamadaほか2011、EPSL誌)。またマントル無水鉱物間の水の分配係数を決定した(Sakuraiほか2011,鉱物科学会)。 さらに、平成23年度は地球初期進化に果たしマグマオーシャンの結晶化を定量的に議論するため、鈴木らは鉱物とペリドタイトマグマ間の微量元素の分配係数の圧力依存性を決定し、その成果は国際誌Phys. Earth Planet Interに2編の論文として発表した Suzuki et al, 2012, Imai et al, 2012。その結果、さらに初期地球化学分化におけるH2Oなど揮発成分の役割を研究するため、これまで未解明であったFe-H系の相平衡と融点の圧力依存性をSpring-8放射光でのX線その場観察実験により世界で初めて明らかにした (国際地球物理学連合メルボルン大会2011年7月および米国地球物理学連合2011年秋季大会で高橋が2件の発表を行った)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
15GPa 2000℃までの実験は年度内に完成したが 20GPa以上の圧力領域で原始地球のマグマオーシャンや核マントル元素分別を再現する実験に用いるマルチアンビルのWC部材の破壊が大きく、年度内に実験が終了しなかった。このためにWC部材を供給するフジロイ社に依頼して高温高圧で破壊強度の高いWC材料の開発を依頼し、平成23年度から200万円を平成24年度に繰り越した。平成24年に入って供給を受けた新材質のWCを用いて20GPa 2200℃までの実験ができるようになり、その成果を用いてSuzuki et al (2012), Imai et al.(2012) の2つの論文を国際誌PEPIに発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度は下部マントル条件に相当する24GPa 2800℃までの実験条件で地球形成過程のマグマオーシャンを再現する実験を行い、形成時の地球でマントルとコアの元素分別がどのように起きたかを解明する。特に地球原材料に含まれたH2O成分が核とマントルでどのように分配されたか、現在の地球の核に含まれる水素の量はどのくらいか、またそれが核の温度の推定にどのような影響を及ぼしえるかを明らかにする予定である。
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Research Products
(10 results)