2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウェハスケール表面構造制御を用いた単結晶グラフェン基板創製
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21246006
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
日比野 浩樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (60393740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 雅夫 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20393762)
影島 博之 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70374072)
蟹澤 聖 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70393767)
山口 徹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (30393763)
田中 悟 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80281640)
水野 清義 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60229705)
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Keywords | グラフェン / シリコンカーバイド / 低エネルギー電子顕微鏡 / 電気伝導特性 / 量子ホール効果 / バンドギャップ |
Research Abstract |
本研究課題では、SiC基板の熱分解によりグラフェンをエピタキシャル成長する手法を用いて、単結晶グラフェン基板を創製することを目標にしている。平成22年度の主な成果は、SiC基板をそれぞれAr雰囲気下と超高真空中で加熱することにより、均一性の高い1層および2層グラフェンを成長させ、トップゲートを有するホール素子を用いた電気伝導特性の評価から、1層と2層で伝導特性が大きく異なることを明らかにしたことである。 1層グラフェンについては、電気伝導度の磁場依存性から、1層グラフェンに特有の量子ホール効果を観測した。ゲート電圧でキャリア濃度を制御可能な環境で、SiC上に成長したエピタキシャルグラフェンの量子ホール効果を測定した初めての例である。また、キャリア移動度が温度とキャリア濃度にどう依存するかを調べ、温度が低くキャリア濃度が少ないほど、移動度が高いことを明らかにした。得られた最大のキャリア移動度は10,000cm^2V^<-1>s^<-1>を超え、Si酸化膜上に剥離したグラフェンに匹敵する。作製したグラフェンは、1cm角の範囲で層数分布が概ね一定で、高品質かつ大面積のグラフェン基板として、基礎物性解明にもデバイス開拓にも大きく寄与すると期待される。 一方、2層グラフェンについては、電気伝導度の温度依存性を解析することにより、電気測定から初めてバンドギャップの値を評価した。バンドギャップの存在は、2層グラフェンがトランジスタのチャネル材料として有望であることを示している。2層グラフェンのキャリア移動度は、温度依存性に乏しく、また、キャリア濃度依存性も、キャリア濃度が減るにつれ移動度が減少するという、1層とは逆の傾向を示した。1層および2層グラフェンのキャリア濃度と移動度の相関は、剥離グラフェンと同様で、電子構造の違いがその起源であることが示された。
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Research Products
(41 results)