Research Abstract |
本研究は,プラズマ流による細胞死および細胞増殖の発現機構を解明し,革新的なプラズマ医療基盤技術の創成とその学理の構築を目的とする. 平成21年度は,研究実施計画に従い,(1)生体反応プラズマ流の生成装置の新規設計・製作,(2)生体反応プラズマ流の診断と制御,(3)生体反応プラズマ流の照射による動物細胞のアポトーシスとネクローシス発現の検証,(4)細胞膜中のエネルギー伝達モデルの構築を進めた. 特に,プラズマ流から発生する紫外線,衝撃波,電界などの影響を排除した,化学的活性種の影響のみを選択的に検証する装置を作製した.これにより,プラズマ流プラズマ流の照射時間が長くなると,動物細胞がネクローシスを起こし死滅するが,この死滅率がある一定の時間を超すと急激に大きくなることを明らかにした.また,プラズマ照射により液体培地中に生成される過酸化水素の効果を調べるため,液体培地に過酸化水素を添加しその濃度による影響を検証した.この結果,過酸化水素濃度についてもある一定値を超すと急激に死滅率が上昇することが示された.この濃度の閾値は,プラズマ照射により過酸化水素が生成される場合と添加した場合では概ね同じ濃度であり,プラズマ照射による死滅効果は過酸化水素に依存しているこを示した.一方,これらの細胞が発現する遺伝子についても検証を行ったところ,プラズマ照射した場合と過酸化水素を添加した場合では,発現する遺伝子が異なることが明らかになった.これらの成果は,世界でもまだ知見されていない現象でありプラズマ医療の基盤をなす重要な成果である. 本年度では,これらの研究を遂行するために,新たに蛍光顕微鏡,交直流用高圧アンプ,デジタルオシロスコープ、バイオクリーンペンチ、CO_2インキュベーターを購入した.また,研究支援者を雇用し研究の促進を図った.
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