Research Abstract |
本年度は,以下の2項目を中心に研究を実施した. 1.濡れの制御技術の開発 撥水と親水の組み合わせにより,核沸騰を促進する伝熱面の開発を行った.具体的には,酸化チタンコーティング面上に,PTFEの撥水領域を斑点状に作成することにより,撥水領域を良好な発泡点として作用させ,親水領域には液体供給性の向上を担わせるという機能分離を行った.これにより,低過熱度で沸騰が開始し,高熱流束域でも核沸騰の維持が可能となり,沸騰が開始しやすく,限界熱流束(CHF)が従来比で2倍程度まで上昇する理想的な沸騰伝熱面開発の目途が達成できた. 2.液滴蒸発に及ぼす濡れ性の影響評価 前年度に引き続き,8本のノズルによるマイクロ液滴噴射系により,00℃まで加熱したSUS試験片の冷却試験を行った.この噴射装置では,液滴直径,液滴速度,射出頻度を独立に変化させることが可能であり,今回の伝熱試験により,これまで2次的な因子として,傾向が不明であった液滴径,液滴衝突速度の影響が明らかになった.同じ噴霧流量の場合は,液滴直径が小さい方が伝熱特性は優れていることが分かった.噴射した液滴の総数を把握できるので,1個の液滴が加熱面に衝突する際の伝熱量を求めることが可能である.表面の粗さの影響としては,粗いほど伝熱特性が優れていること,衝突時の液滴の広がりも最大となり,その際の接触時間も長くなることなどが高速度カメラによる撮影画像を援用した分析により明らかになった.
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