2011 Fiscal Year Annual Research Report
長期耐用型新建築合成構造(CES)の構造性能評価法の確立
Project/Area Number |
21246088
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉本 洋 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20234544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 隆夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60335370)
松井 智哉 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教 (20402662)
真田 靖士 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (80334358)
岸本 一蔵 近畿大学, 建築学部, 教授 (40234215)
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Keywords | CES構造システム / 構造性能評価 / CES造耐震壁 / H型鉄骨内臓CES柱 / スラブ付CES柱梁接合部 / 構造実験 / FEM解析 / 限界変形評価 |
Research Abstract |
本研究課題は、鉄骨とコンクリートのみから構成される鉄骨コンクリート(Concrete Encased Steel:以下、CES)構造システムを対象とした限界耐力計算による構造性能評価法の開発を目的としたものである。 平成23年度においては平成22年度に引き続き、CES造耐震壁、CES柱及びCES柱梁接合部の構造性能評価に関する研究を実施した。 CES造耐震壁に関する研究では、平成21年度及び22年度に実施した破壊形式(曲げ降伏先行型、せん断破壊型)及び壁板の偏心配置を実験変数とした4体のCES耐震壁に対してFEM解析を実施し、荷重-変形関係や壁脚部の変形等を精度良くシミュレーションできることを示した。さらに、FEM解析結果か5.壁板が側柱内の鉄骨ウェブせいの範囲に配置される場合には、圧縮側柱による壁板の拘束効果が大きいため、良好なせん断力伝達が期待できることなどを明らかにした。 CES柱に関する研究では、内蔵鉄骨量とコンクリートの繊維混入量を実験変数とした4体の柱実験を実施した。さらに、それらの結果と平成21年度及び22年度に実施したCES柱実験結果を総合し、作用軸力レベル、せん断スパン比、内蔵鉄骨量及び繊維混入量等の影響を考慮したCES柱の限界変形角の評価式を提案した。 一方、スラブ付CES柱梁接合部に関する研究では、接合部耐力を実験変数とした内柱梁接合部め静的加力実験を2体の試験体を用いて実施した。その結果、(1)接合部のせん断耐力はスラブが付くことにより増加すること、(2)スラブが付くことにより,接合部パネルゾーンの水平方向の変形が抑えられるとともに接合部ウェブの降伏が遅延し、結果として接合部の損傷が軽減されること、(3)スラブ付き梁の終局曲げ耐力は一般累加強度理論を用いて評価できること、などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りの実験及び解析が実施され、所定の成果をあげているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本課題の最終年度にあたるため、CES構造システムの構造性能評価法のまとめを行う予定である。具体的には、既往のCES構造に関する研究成果と本研究課題で過去3年間に実施してきたCES柱、CES柱梁接合部及びCES耐震壁等の研究成果を総合して、CES構造部材及び架構の耐力評価法、復元力特性のモデル化手法、及び減衰評価手法を提案する。また、平成22年度に作成したCES造建築物の試設計建物にそれらの構造性能評価手法を適用し、限界耐力計算による静的地震応答評価を行う。さらに、当該建築物の時刻歴地震応答解析を実施し、静的地震応答評価結果と比較検討し、提案したCES部材及び架構の構造性能評価手法の妥当性を検証する。
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