2010 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックな染色体構造変化を介した遠隔エンハンサーによる遺伝子発現制御機構
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21247002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 染色体ダイナミクス / 遠隔エンハンサー / 非翻訳保存配列 / 形態形成 / 進化発生学 |
Research Abstract |
1.上皮シス制御配列とShh遺伝子座周辺の染色体構造変化の解析 肺・消化管上皮エンハンサーであるMACS1の3D-FISHによる染色体動態の解析を行った。Shh発現のあるマウス胚消化管上皮細胞では、MACS1とShhプロモーターとの物理的接近が観察されたが、Shh発現の無い直下の間充織組織では両者は離れる傾向にあり、MACS1の消化管上皮特異的な染色体動態が示された。MACS1 KOマウスでは消化管のShh発現が3割程度減少する。また、消化管上皮ではMACS1と共局在するShhのpre-mRNAと局在しないPre-mRNAがそれぞれ観察された。したがって、消化管でのShh発現は複数のエンハンサーによる制御を受けていることが示唆される。 2.CTCFの染色体動態における役割の解明 染色体高次構造を介した転写制御機構におけるCTCFの機能を解明するためCTCF遺伝子の条件付KOマウスを作製した。このcKOマウスを肢芽間充織特異的にCre組換え酵素を発現するマウスと肢芽先端の上皮特異的にCreを発現するマウスとを交配し、肢芽でのShh発現解析とShh遺伝子座の染色体構造を3D-FISH法と3C法によって評価する。 3.Shh発現を制御するシス配列の機能分化の解析 上皮特異的なシス配列内の転写因子結合部位をトランスジェニックアッセイによって探索した結果、口腔上皮特異的なMRCS1内のTCF/LEF結合モチーフ、呼吸/消化管特異的なMACS1内のFox結合モチーフの重要性が示された。咽頭上皮特異的MFCS4及びMACS1は、ゲノム約125kb内に含まれる。これらのKOマウスは、いずれもレポーター遺伝子の発現部位の一部だけに表現型を示す。この結果は、互いの機能の相補性か未検出シス配列の存在を示唆する。現在、この範囲にあるシス因子の機能性を包括的に探索するため減数分裂期特異的なCre組換え酵素によりMRCS1からMACS1にいたる125kbを欠失あるいは重複した遺伝子改変マウスの作成を進めている。
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Research Products
(2 results)